2014年5月22日木曜日

【エッセイ】雨と木曜日(8)


 詩とパンと珈琲の店、モンクール。フランス語で「わたしの心」を意味する喫茶店の名前。それとも、パン屋さんだろうか。珈琲屋さんかもしれない。素敵な場所で、地域の作家による写真や詩集、小物にポストカード、それにクッキーが積んである。おからドーナツはさくっと甘く、フォカッチャはじゃがいもが練り込まれてハーブの香り、全粒粉のパンはどっしり。ドイツのライ麦パン、プンパーニッケルも置いてある。これはほかではなかなか見られないパン。

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 くすみ書房は街の本屋さんだ。60年以上の歴史がある。琴似にずっと店舗を構えていたが、2009年、少し町外れの大谷地に移転した。街の本屋は大変だ。それでも、くすみ書房は面白い試みを次々と打ち出していった。「なぜだ!?売れない文庫フェア」「中学生はこれを読め!」店主の久住さんの一押しは「ちくま文庫(ちくま学芸文庫)」。100冊くらい表紙を出して並んでいる。すばらしくユニークな棚作り。これからも街と本の文化を支えてほしい。

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 ガウディについて、ふとしたきっかけから調べ始めた。ぐいぐい引き込まれてゆく。サグラダ・ファミリアで30年も石大工の仕事を続ける外尾悦郎さんの著書『ガウディの伝言』には、現場の話がたくさん。ガウディの伝記も気になる。独身を通し、人間関係には不器用なところがあるが、才能は若き日から開花し、それを認めるグエル伯爵の全面的なバックアップを得て、独創的な建築を旺盛に造り続ける。写真集は毎ページ息を飲んでしまう。



【お店情報】詩とパンと珈琲 モンクール
住所:札幌市中央区北3条西18-2-4
定休日:日曜日、月曜日、祝日
営業時間:(火~金)11:00~20:00(土) 9:00~18:00

【お店情報】くすみ書房
住所:札幌市厚別区大谷地東3-3-20 CAPO大谷地(地下鉄東西線大谷地駅隣接)
電話:011-890-0008
営業時間:10:00~22:00(2Fは21:00まで)、年中無休
ホームページ:http://www.kusumishobou.jp/index.html

【書誌情報】『ガウディの伝言』、外尾悦郎、光文社新書、2006
『ガウディの奇跡』、北川圭子、アートダイジェスト、2003
『ガウディ 日本語版』、エデトリアル・エスクド・デ・オロ社(EDITORIAL ESCUDO DE ORO S.A)制作、宇野澄子訳、1990(※ 日本の出版社について記載なし。)