2014年6月17日火曜日

【個展】美水まどか "つつむ、つなぐ"@ギャラリー創

とある土曜日、札幌まつりに賑わう中島公園から徒歩5分、静けさを感じさせるモダンなギャラリー、「ギャラリー創」にて。


美水(よしみず)まどかさんの紙と真綿を使った作品の個展です。

「海の繭」DMにも使われた代表作
なんとも不可思議な浮遊する世界。それでいて、素材がこちらへ向かってくるほどに強度をもち、作品は存在感を放っています。


これは今回の一番の大作。こうして写真で見るとわかりづらいのですが、ぶ厚い紙を何枚も重ねて、ときにはそれに穴が空いて、できています。藍色〜紺色〜水色に染色されています。


展示風景。少し暗めに写ってしまいました。実際には主に白色光で明るい空間です。さて、作家の美水さんが在廊していらしたので、お話を伺うことができました。

奧の壁面。さきの「海の繭」

美水さんは、かつて銅版画をなさっていたそうですが、そこから版画を刷る紙へのこだわりが始まり、版画家ではなく紙の作家となり、以来、20年以上も紙の作品を作り続けています。ちなみに、真綿との出会いは最近で、使い始めてまだ日が浅い、とのこと。

染色された紙が真綿でつつまれている
気さくな、飾り気のない話しぶりで、「ゴミから」「ゼロから」作るのだと笑って言います。牛乳パックやなにかを溶かし、パルプの状態にして、ケナフ(繊維)を混ぜて、染色。その後に成形するという。

"Sky Color"(一部、映り込みあり)

面白いのは、成形した(=紙ができた)あとには一切、手を加えていない、という点。したがって、このユニークな形(輪郭や、破れたような穴)も色合いも、自然にまかせて作られているということ。美水さんはこれを続けてきた日々を「素材とのたたかい」と呼んでいた。素材を活かすことが一番、大事であって、「作為」ではない、と語る。


さきの大作を横から見たところだが、4枚か5枚のぶ厚い(ダンボールより厚い)紙が重ねられているのがわかる。




また、こうして見るとよくわかるが、厚い紙の全体が染まっている。表面に色を塗っているのではない。


美水さんは青が好き(いまの気分)だそうだが、たしかに会場のほとんどの作品が青系統。そのなかで、めずらしく赤を使った小品がふたつあった。この赤もよい色で、じっと見入ってしまう。

ほんとうに素晴らしい展示だった。幸い、在廊している曜日も多いようなので、下記を参考に足を運ばれてはいかがだろうか。

美水まどか ”つつむ、つなぐ”
2014. 6.14 - 6.29.
11:00 - 18:00 (最終日17:00)火曜休
作家在廊日:木・金・土・日
企画:ギャラリー創(札幌市中央区南9条6丁目1ー36)