2014年6月19日木曜日

雨と木曜日(12)


ベンチが設置されました。座り読み

 くすみ書房は、まちの本屋さん。札幌に居をかまえて60数年。独特の品揃え(岩波文庫や中公文庫、ちくま文庫がたくさんある!)やおもしろい企画(「なぜだ!売れない文庫フェア」ほか)、そして、絵本から小〜中〜高校生それぞれに向けた棚作りで、地域のひとびとに愛されています。雑誌や書籍に取り上げられることもしばしば。そんなくすみ書房さんが、いま店内のリニューアル。とくに、特色ある書棚が刷新されていて、通うのが楽しみ。

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 先日、丸美珈琲店でエルサルバドルを飲んだ。丸美珈琲は自家焙煎の珈琲店で、札幌テレビ塔のすぐそばにあり、立地もよいのです。さあっと珈琲豆を眺めたところ、煎りは中煎りが多いよう。真っ黒な深煎りは少ない気がしました。エルサルバドルは、以前、べつのお店でも飲んだことがありますが、爽やかな、ひたすら爽やかなすーっとする豆です。コクやボディとはべつの、浅い酸味と抜けるような風味を楽しめます。とても美味しかった!

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 知人が面白いと言うフィッツジェラルド『マイ・ロスト・シティ』を読んでみました。フィッツジェラルドは1920年〜40年頃に活躍したアメリカの作家。初期から悲しい結末の作品が目立ちますが、後期に入って「崩壊してゆく人生」をドライなタッチで描く、その激しさが増します。僕には、「自己陶酔」ゆえの「幻滅」を「冷たい文体」で描く作家に見えます。その文体の無駄のなさは、作者の心の余裕のなさの表れでもあるのでしょう。


【書誌情報】スコット・フィッツジェラルド、『マイ・ロスト・シティー』、村上春樹訳、中央公論新社、2006