2014年7月3日木曜日

雨と木曜日(14)


エゾシカのスープを作った。カレー風味。こう書くと、道内で数が増えて事故を引き起こすエゾシカを猟銃を肩に担いで「それ、ひとつ狩りにゆくか」と繰り出し、道東の森にエゾシカを追いかけ、ついに仕留めてその肉をさばき、見事、カレー風に味つけた大鍋のなかへ放り込み、ぐつぐつ煮込んで滋養豊かなスープにしたかのような印象を与える、かもしれない。友達が登別のおみやげに「エゾシカの缶詰、カレー風味」をくれたから、なんて言えない。

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 さて、ドイツのコーヒーが届いた。ドイツもコーヒーも好きな知人が送ってくれた。僕もどちらも好きだ。ドイツ語ではコーヒーを "Kaffee" と書く。発音は「カフェー」。"K" から始まる単語というのも、どことなくかっこいい。ちなみに、ブラックコーヒーは "schwarzer Kaffee" (シュヴァルツァー・カフェー)。さっそく淹れてみたが、まろやかで複雑な風味はチョコレートかアーモンドを思わせる。

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おもしろい本に出会った。『グリコのおもちゃ箱』。真四角な表紙をした本で、めくると、カラフルでミニマルな、往年のグリコのおもちゃが次から次へ出てくる。「おとぼけライオン」「あしかのユラリン」「いもむしコロコロ」「ばったバタバタ」「ふくろうキョロキョロ」「にわとりピョンピョン」……。これらはおもちゃデザイナーの加藤さんが1987年から2001年に亡くなるまでに手がけた作品たちだ。素敵なコレクション。


【書誌情報】加藤裕三、『グリコのおもちゃ箱』、地方・小出版流通センター、2002