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2014年8月5日火曜日

【ご報告】本のカフェ第10回「モンクール谷の夏まつり」

2014.8.2.(土)18:00 - 21:00
札幌、「詩とパンと珈琲 モンクール」にて
参加者12人(+主催者)


今回は、『ムーミン谷の夏まつり』に引っ掛けて、詩とパンと珈琲のお店「モンクール」さんで本のカフェを開きました。土曜日の夜、はじめの90分は4冊の本の紹介があり、児童文学や絵本をメインに和やかなムード。後半の90分は、モンクールさんの美味しいパンの数々と特別なオリーブオイル、はちみつでわいわいがやがや。二次会は、カフェ・エスキスへゆきました。


はじめに、ご案内のトークと自己紹介タイム。自己紹介では、恒例となった「テーマ」を設けるのですが、今回はパン屋さんにちなんで「好きなパン(ないしは焼き菓子)」でした。みなさん、たくさんの好みを披瀝してくださり、「くるみパン」(これが好きなひとは多かった!)、「ぶどうパン」「くるみが入ったライ麦パン」「チーズのパン」「ダックワース(モンクールの焼き菓子)」「カボチャ餡のパン」「クリームチーズのパン」「フレンチトースト」「クイニ・アマン」「(桑園のパン屋さんココペライの)クロワッサン」などなど。

とくに「モンクールの〜パン」とご指定の方も3人ほどいらっしゃいました。モンクールが好きだから、今回の本のカフェにお越しくださった方もいるのでしょうね。



一冊目は、『星の王子さま』。「大人と子供が同居している」パイロットがサハラ砂漠でふしぎな少年と出会います。「羊の絵」を描いてと頼む有名なシーン、バラとの愛と別れ、ヘビと王子さまの会話、「心の絆を築く」ことを教えてくれるキツネの話。場面をしぼって、それぞれのエピソードを解釈してくれました。紹介者さんは個人でフランス語から全訳された方で、じっくりと読み込み、原語にも触れてくれました。フランス語での朗読もよかったです。

*紹介者の方による個人訳『星の王子さま』は、以下のURLからダウンロードできます。http://goo.gl/JA7544


二冊目は、『おちくぼ姫』。平安時代初期の『落窪物語』を、現代の子供向けに翻案したお話。それは、日本版シンデレラ・ストーリー。お母さんは皇族の出なのに、継母の家で粗末な部屋に置かれ、縫い物をさせられるお姫さま。部屋が「落ち窪んで」いることから「おちくぼ姫」と侮蔑的にあだ名されます。すぐそばにお仕えしている阿漕(あこぎ)とその夫の活躍で、少将と結ばれて……紹介者さんは行動的な阿漕に好感を覚えたとのこと。


三冊目は、本のカフェで初となる絵本の紹介。作家、イラストレーター、シンガーソングライターと多才な顔をもつシルヴァスタインの『おおきな木』。今回は、本田錦一郎さんの旧訳で読みました。おおきな木と成長する男の子の物語、木は男の子にりんごや枝を与え続け、それは彼が老人になるまで続く。原題は、"The Giving Tree". 紹介者さんは「子供には難しいかも。小さい頃に読んで、ちょっとさみしかった」とコメント。



四冊目は、夏目漱石の『夢十夜』。十の夢から成る幻想短編集。突然、場面が変わったり、時代を跳躍したりするのは夢の世界ならでは。紹介者さんは、連想を働かせていろいろなエピソードや雑学を教えてくれました。黒澤明の『夢』は、「こんな夢をみた」から始まり、『夢十夜』と形式が同じであること。ひとはなぜ夢をみるのか、に定説はないこと、モノクロテレビの時代のひとはモノクロの夢をみることが多かった(ほんとう!?)などなど。


その後は、フリータイムに突入し、どーんとパンが運ばれて来ました。クリームパン、ジャスミンを練り込んだパン、バゲット、サツマイモとキャラウェイのパン、など10種類はありました。オリーブオイルはこだわりのものを3本。それに、道産のはちみつ。オーナーが、それぞれについてかんたんに解説してくださいました。


そこへ、有志がビールとおつまみを買ってきたから、もう小さなパーティー状態に。BGMは古楽(テレマン)から、ドビュッシー、アイリッシュ音楽(ハンマーダルシマー)などお店に合いそうなものをチョイス。


そして、忘れてはいけない、ムーミンに関する小物を持ち寄る「ムーミンルーム」も開かれました。小さなテーブルに所狭しとグッズや本が積み上げられます。ちょうど、その時期に札幌で開催されていたムーミン展の図録から、マグカップ、グラス、2002年から十年分のカレンダー(大きい!)、千葉県を走るムーミン列車の写真など。とにかく、ムーミン好きの参加者さんが多くいらっしゃって大賑わいでした。


こうして、第10回「モンクール谷の夏まつり」は無事に閉会。二次会は、カフェ・エスキスさんへ7人ほどで流れました。そちらもアートや文化のお話で盛り上がって、楽しかったですよ。


今回、実は僕が体調万全でなかったこともあり、ぼうっとして気が利かない場面が多くありました。そこを助けてくれたのが、受付の内村さんと写真係のYoshimotoさん。バックグラウンドで大活躍してくださいました。ちょっと無理矢理な喩えで言えば、僕が自分から動けない「おちくぼ主催者」だとしたら、おふたりは阿漕とその夫のように、息を合わせて「陰の立役者」として立ち回ってくださったのです……参加者の方が満足してくださったとしたら、おふたりの活躍によるところが大きいことを記しておきます。

そして、場所を貸してくださり、おもてなしを助けてくださったオーナーの高橋様、参加者のおひとりおひとり、また、TwitterやFacebookでいつも見守ってくださる多くの方々にも、お礼を申し上げたいと思います。みなさん、ほんとうにありがとうございました。

主宰・文責 木村洋平

写真:ご本人が写る一枚を除き、Yoshimoto Norikoさまのご提供です。いつもながらすぐれたショットの数々、ありがとうございます。

余談:本のカフェについて。第10回まで、いろいろなカフェで毎回、あれこれの趣向を凝らして変化を加えながら、開催してきました。いま、10回できりのよい数字だから、というわけでもないのですが、一段落した感じを覚えています。このまま、11,12回目を企画することも可能でしたが、それは同じイベントのくり返しになると思い、休憩を入れました。ひと息つき、ゆっくりと考えてみて、また新しいかたちで11回目以降にみなさまと出会えれば、と楽しみにしております。どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。