柳散る拾いてみれば色づきぬ
川の水もあとひと月もすれば雪の下かと思う。
せせらぎもあとひと月か文化の日
陽が当たり、銀杏の散り敷くなかを鳩が遊ぶ。
黄葉に鳩が九匹舞い降りる
晩秋のさわやかさがある。家に帰りて生活句を三つ。
柿の皮たおやかに折り重なりぬ
柿は熟している。五五七の破調。蕪村の牡丹の句、「うち重なりぬ二三弁」を思った。次の「きりたんぽ」は残念ながら、冬の季語として認められていないようだ。
きりたんぽがおいしい季節になりました
次は三つの季重なり。鍋に大根をすりおろした。
大根も外も霙(みぞれ)や冬初め
また円山公園を歩く。手入れの行き届いた公園で、小さな小さなトラックが走っている。管理人が落ち葉をかき集める。
軽トラに枯葉を山と積みにけり
落葉樹のなかでも、ポプラとアカナラ、カラマツは最後まで残る。
寒き日にポプラの樹皮をゆく羽虫
ポプラ散る土に着くまでゆっくりと
いよいよ冬が立つ日、ふわふわと舞う雪の欠片が漂っていた。
立冬のちらほら白のゆくえかな
冬来たる白樺の葉はみな落ちて
ある朝、公園の広場ではそこらじゅう水たまりがうっすらと凍っていた。(「つら連なる」は造語。)
初氷つら連なりて大広場
街路で驚いたのは紫陽花の花びら(萼片)が残っていたこと。
紫陽花の時雨てのちの赤みかな
赤紫に変色しているが、まだ茎についている。ここ数日、霰(あられ)が降ったり、ほろほろと少ない雪が降ったりした。
これはほら傘も楽しき霰かな
かんざしの代わりに雪を積もらせて
円山公園の隣、北海道神宮へも足を運んだ。
北海道神宮もやや冬めける
そのままの句を詠んで、東京へ旅立つ月末。旧暦では神無月、出雲へと神々も旅をする時節。北の神々も旅立つ頃だろうか。
青空をそろそろゆくか神の旅