2015年5月12日火曜日

旅と病気のエッセイ


僕は旅に出ると、たいてい必ず調子を崩す。旅先のベッドで休んでいたり、駅でおなかをこわしたり、炎天下でふらついたり、なんらかの身体トラブルに見舞われる。


旅は自由なもの、という観念は溢れている。人生を変える、とも言われる。どちらもいまひとつピンと来ない。

このあいだ、ベトナムに旅をしたら、夜、完全な闇に包まれた、という文章を読んだ。これだ、と思った。どうすればいいのか、わからなくなる限界の経験。

つまるところ、僕にとって旅は「自由」や「人生を変える」であるよりも、日常という逃げ場のない「ぎりぎりの体験」をしにゆくことだ。日々の安定の外へ出ること。