2015年5月20日水曜日

Q&A「ビッグイシュー」ってなに?


これ、ビッグイシューという雑誌、見たことありませんか? 東京や大阪ではよく見かけるかもしれません。地方にゆくと、なかなか機会がないかな。そう、ホームレスを支援する雑誌です。名前くらいは聞いたことないでしょうか?

ちょこっと、Q&A形式でこれについて説明してみましょう。世間では、あんまりきちんと理解されていないようなのです。「Q」の方は、実際に聞いた声をもとに若者っぽく作ってみました。「A」の方も、少しキャラクター仕立てにして。。。

Q「ビッグイシュー、名前は聞いたことがあります。それ、なんなんですか?」
A「これはね、ホームレスの自立支援を目標にしたビジネスなんだ。この雑誌を売ると、売り上げの半分がホームレス販売者の収益になるんだよ」

Q「え……それって有料なんですか?」
A「有料だよ!フリーペーパーだと思われていたのかあ」

Q「なんか駅前でよくわからないおじさんが掲げてるなって……」(*実際に聞いた声)
A「彼らがなにをしているのか、わからないまま通り過ぎていたのだね。そう、彼らはホームレスの販売者さんで、この雑誌「ビッグイシュー」を売っているんだよ」

Q「ふうん。それで、いくら?え、350円、高くない?」
A「ぼくは高いと思わないけれど、ぱっと見、そう思うかもしれないね。薄い冊子だから。でも、ほら、中身をみてごらん。フリーペーパーとちがって、広告がほとんどないだろう?」

Q「あ、ほんとうだ」
A「誌面のクオリティも高い。デザインはクールだし、記事は充実しているし、これ、連載なんかもあるんだよ」

「ふむふむ…」しばらくページをめくる。

Q「これ、面白そうじゃないですか。いつも表紙はハリウッドなんですか?」
A「表紙は雑誌の顔だからね、有名人に頼んでいるね。ハリウッドのスターもよく出るけれど、日本版では日本の俳優さんや著名人も表紙になるよ」

Q「どこが作っているんですか」
A「いい質問だよね。そもそも、ビッグイシューというのはイギリス1991年に始まった試み。それを志のあるひとが日本へ持ちこんだ。日本版は2003年に創刊されて、大阪に有限会社がある。そこで、作っているんだよ」

Q「で、あれ、どういうシステムなんでしたっけ?」
A「ビッグイシュー、350円だったよね。それが一冊、売れると、180円が販売者の収入になる。つまり、ホームレスのひとが生活するためのお金になる。残りの170円は、雑誌の制作と運営に当てられる。それだけでは足りないから、寄付も募っているけれどね」

Q「じゃあ、これを買うと社会貢献になる、ってことですね」
A「そう。そうなのだけど、ビッグイシューの標語は、イギリスの創設者が述べているとおり「チャリティではなく、ビジネスを」なんだ。お金や食べ物を無償で与える慈善事業ではなくて、あくまでビジネスとして雑誌を販売しよう、ホームレスのひとたちはそのビジネス・パートナーだ、という考え方なんだよ」

Q「へえ。どこで買えるんですか?」
A「ホームレス販売者から直接、買うんだよ。書店には置いていない。本屋さんの店頭に並ばない雑誌なんだ」

Q「ユニークですね。とりあえず、一冊買って読んでみますね。わたしもファンになるかなあ?」
A「なりますよ!そのうち、常連さんになって会話を楽しみながら買うようになるかもしれません。月2回、1日と15日に発行されているから、気にかけてみてね」

さあ、Q&Aはこんなところにしておきましょう。

実は、こういう基本的な説明が、そして誤解を解くような解説が、なかなか見当たらないのです。僕の回りでは「知る人ぞ知る雑誌」になってしまっていて、名前くらいは聞いたことあるけれど、どんな雑誌かは知らないひとが多いという印象です。そこで、この記事を書きました。

クオリティについては触れたとおり、よく出来ていてほんとうに面白い。「社会貢献」だとか「社会的弱者の支援」といった理屈を抜きに、ただ買って読んでも楽しめます。まずは気楽に、販売者さんに声を掛けてみたらどうでしょう。

公式ホームページより、バックナンバー一覧


ちなみに、この記事を書いている僕は愛読者のひとりであり、会社「ビッグイシュー日本」ととくべつな関係はありません。

→ もっと詳しく知りたい方は、Q&A「ビッグイシューってなに?」第2号 へつづく。