2015年6月3日水曜日

雨と木曜日(49)

2015.6.4.

今回は、ポストカードと絵葉書〜高島屋珈琲(北斗市)〜須賀敦子『コルシア書店の仲間たち』。



最近、手紙をよく受け取った。初夏の便り。ポストカード(絵葉書)を封書にして送ってくださる方が多いので、その葉書をいつも机のうえの、一段高いところにしばらく並べておく。青い鳥も、星の王子さまも、流星が駆ける夜空も、数字やアルファベットのデザインも、所狭しと並ぶ。旅先の桜の写真を送ってくれた方もいるから、写真も乗せて。あふれそうになりながら、下げる時にはもう一回、読み直してそっと仕舞う。

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高島屋珈琲なるものをいただいた。同名のデパートとは関係がないよう。道南の北斗市に本拠地のある自家焙煎のお店だ。WEBで拝見すると、何種類もの珈琲豆を用意している。「超・天空のコロンビア」という豆もあるが、これなどは「ドラゴンクエスト」シリーズの副題にも使えるのではないか、と思う。ブラジルやモカ・シダモをいただくが、酸味がさわやかに、丸すぎず、つぶれずに活きている。全体にまろやかな珈琲だ。

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須賀敦子さんの『コルシア書店の仲間たち』を読んだ。コルシア・デイ・セルヴィ書店という名前の長い書店がある。須賀さんはイタリア在住の時代、ここを中心に生活が、街が開けたらしい。ともに働く仲間たちはみな、一筋縄ではいかないインテリだったみたいだが、彼らの癖よりも、書店の回りで淡いつきあいをしたひとびとについて、主に描く。窓から覗いたような人生。悲哀を基調にしながら、やさしさと明晰さの薄明かりが照らす。


【書籍情報】
『コルシア書店の仲間たち』、須賀敦子、白水uブックス、2001

同じ著者の本について、【本と珈琲豆】『ミラノ 霧の風景』(須賀敦子)