2015年11月21日土曜日

【ご報告】本のカフェ第25回@札幌

日時:2015年11月15日 14-16時
場所:Cafe & Shop Seed レンタルルーム
参加者:6名
参加費:1500円(スイーツプレート、ドリンク付き)


今回は、こぢんまりと日曜午後の本のカフェ。初参加の方も本を紹介してくれました。



一冊目は、川上弘美『椰子・椰子』。タイトルは川上さんの子供が「おやすみ」の代わりに「やしやし」と言っていたところから。内田百閒に影響を受けた幻想が楽しみな川上弘美ワールド。これはファンタジーと日常を織り交ぜた「うそ日記」。モグラと出会ったり、鳥のジャンとルイを観察したり。四季にひとつずつの短編小説も挟み込まれている。山口マオさんのイラストもよく似合っていて、ふたりの対談も収められている。


二冊目は、サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』。とりわけ、「コネティカットのひょこひょこおじさん」について。紹介者は学生の時に読み、読んでしまった(これからもう新しく読めない)ことを後悔した、という。それほど好きになった本。主人公は、ふたりの女性で、学生時代に同じ寄宿舎に住んでいた。昔の恋人をそれぞれに回想する。ふたりともすでに恋人は死んでいる。「なにもかも説明がつかないほどどうしようもない」感覚に浸る。


三冊目は、紹介者が足りなかったのでめずらしく主宰の木村が紹介。『武満徹エッセイ選』(ちくま文庫)。ぶ厚い本なので、気に入ったところを拾い読みする程度でしたが、武満の言葉を引用しつつ、「無文字社会」は言葉に歌をもっていたが、それが「文字社会」になるにつれ、黙読されるようになり、言葉は歌を失い、代わりにモーツァルトのような芸術としての音楽が盛んになったのではないか、などと話した。


フリータイムでは、スイーツプレートが運ばれて、追加のドリンクを注文したりしながら、おしゃべりに花が咲く。今回は、真面目に本の話が多かったですね。

アイルランド英語を翻訳する難しさや、川上未映子さんの哲学的な感じ。村上春樹訳のフィッツジェラルドなどについて。


16時でさらっと解散。これからは、基本的には二次会のないスタイルでゆこうと思っています。

Seedのオーナー、スタッフのみなさん、ご参加、応援いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

主宰・文責:木村洋平
写真:Kさん、木村

【書誌情報】
川上弘美、山口マオ(イラスト)、『椰子・椰子』、小学館、1998
サリンジャー、野崎孝訳、 『ナイン・ストーリーズ』、新潮文庫、古い版
小沼純一編、『武満徹エッセイ選』、ちくま文庫、2008