2016年2月9日火曜日

真面目なゴリラの話


ビッグイシュー(雑誌)でゴリラ特集をしていたが、おもしろい!ニホンザルとゴリラの「社会」はべつのものなんだって? そして、人間は……


1978年から30年以上、ゴリラの研究を続けてアフリカの熱帯雨林に通い詰めた山極寿一さん。実は、日本には戦後、霊長類学なるものが生まれ、それは、人間だけを対象とする西洋の人類学とは異なるのだそう。そんな霊長類学の第一人者がゆく。

さて、ゴリラ同士は出会うと「グフーム」という「挨拶音」を出すそう。これは人間が出しても通じるから、挨拶せよ、とのこと。しかし、突然、ゴリラと遭遇してかたまってしまう山極さん。「グフーム」と、群れのリーダー格の方から挨拶した。すると、緊張は解けてメスも子どもたちも自然な動きに戻りました。

・そもそも山極さんは始め、ニホンザルの研究をしていました。そこでわかったのは、ニホンザルの社会は厳格なヒエラルキーができていて、「弱い者が強い者に譲る」序列社会だそう。視線を合わせるのも、敵対や挑戦を意味する。それで、みんなそっぽ向いてべつべつに食事をするとか。

ところが、ゴリラの社会に入ってみると、「覗き込み行動」が見られるのだそう。これは、言葉を持たないゴリラが和解や意思疎通をするために、対面してじっと顔をみる行為。

・もうひとつ、ゴリラに特徴的なのは笑い。遊んで、楽しくて笑う声を出すのだそう。一方のニホンザルは歯を出しておべっか笑いをするが、これは劣位の表現なのだって。

・ゴリラは「家族」だけで群れを作るから、実は「社会」という言い方は適切ではない。同じ類人猿のチンパンジーは集団だけで暮らす「社会」を作る。こうして眺めると、「家族」と「共同体」を両立させているのは人間だけらしい。

*ちなみに、「家族」は身内へのえこひいきがあり、見返りを求めない集団。共同体は、対等で互酬性を求める集団、とのこと。

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なんだか、こんな風に比べるのも面白い。そして、ゴリラってけっこうやさしいみたいだよ。なお、山極さんはその名も『「サル化」する人間社会』なんていう批判的な本も出している。なるほどね!

【書誌情報】
雑誌『ビッグイシュー日本版』(278号)、有限会社ビッグイシュー日本、2016年1月1日発行

*ビッグイシューはホームレスが販売して収益を得るための雑誌であり、本屋さんには並びません。バックナンバーは、いまのところ、販売者さんから買うしかないかな? ホームページはこちら

当ブログでビッグイシューを紹介した過去記事:Q&A「ビッグイシュー」ってなに?