2016年3月3日木曜日

雨と木曜日(73)

2016.3.3.

久しぶりの更新。木曜日のエッセイ。
今回は、ひなまつりの雪国〜ドミニカの珈琲〜『詩経』海音寺訳、中公文庫。


ひなまつり。梅も見頃で春の気配あらわれる東京、と思うけれど、札幌では二日間、猛吹雪の荒天だった。あっという間にすねのあたりまで道は雪に埋まり、びゅうびゅうと雪がうなった。荷物の配送や新刊、雑誌の入荷はJRが動かないために遅れる。今年は、例年よりも雪の少ない冬だったが、どかっと降る時に降る。路肩の雪は僕の背丈を超えて、いつも通りの風景。それでも、気温はもう下がらないから、しばらくすれば、解けるだろう。


***

ドミニカのストレートコーヒーを飲んだ。初めてだ。ドミニカで珈琲豆を栽培していることも知らなかった。店主に訊くと、ジャマイカとも距離が近く(キューバ、ハイチ、あのあたり)、ブルーマウンテン(ジャマイカにある)の代わりとして使われることもあるし、味が似ているのだという。「代わり」というのは、偽物として出回るのかな? ともあれ、酸味と甘みのバランスがよく、苦みが走らずにまろやか。なるほど、似ている。

デミタスカップというほどは小さくないのかな。可愛らしい

***

『詩経』は、中国の万葉集のようなもの。四書五経のうち、「経」のひとつで長い。中公文庫でいまは絶版となった海音寺さんの訳を友人に勧められて読む。政の詩もあれど、ひなびた歌が多く、民衆に愛唱されたのかと思う。直接の表現でなくても、恋を歌ったものが多い。片想いからうまくゆかない夫婦の愛まで。訳は、民謡調で声に出して読みたくなるよう。詩経全体にわたり、解釈の取り方は多様らしいが、本書は読んでいて気持ちが良い。


【書誌情報】
『詩経』、海音寺潮五郎訳、中公文庫、1990