2016年3月31日木曜日

雨と木曜日(77)

2016.3.31.


木曜日更新の日記風エッセイ。
今回は、旧友と桜散歩〜コーヒーを控える〜バルザック『グランド・ブルテーシュ奇譚』。


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旧友の勤めている大会社に行って来た。エレベーターを降りて、ふたりで街をぶらつく。ランチの人気店は並んでいるのでパス。靖国神社の前を通りかかるが、すごい人出。「ふだんは10人くらいしかいないんだが……」。桜は5分6分咲きか。ところによりけりで桜並木はそこそこの壮観。彼は東京は下町が好きで、東急沿線のような開発は街をめちゃくちゃにしてしまう、と言う。ふらふらと蕎麦屋へ入り、ご馳走になった。ありがとう。

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先週に引き続き、コーヒーを控えている。朝の一杯をなるべく飲まない。コルチゾールの効果がどうかは知らないが、自然と覚醒するにまかせる。珈琲は頭を冴えさせてしまうからね。ちょうど、カフェインレスコーヒーがあるので、こちらでごまかす。ごまかすと言っても、なかなか風味を楽しめて温まる。それでも、一日に一杯は飲みたくなる。100円で飲むようなコーヒーも、ふっとしたタイミングでいただくとおいしいものだ、ね。


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バルザックの短編集『グランド・ブルテーシュ奇譚』を読む。バルザックは「オノレ・ド」と貴族の「ド」をつけて気取っていたという。父親はお金持ちだが貴族ではなく、母親はメスメリズムなんかの、いまでいうスピリチュアルにはまった困り者。そんなマザーコンプレックスからか年上の女性、とりわけ既婚者との恋愛遍歴を重ねる。短編集は、余裕綽々で軽々と運んだ筆で書かれており、どことなく皮肉な味つけはフランス文学の独壇場。

【書誌情報】
『グランド・ブルテーシュ奇譚』、バルザック、宮下史朗訳、光文社古典新訳文庫、2013