2016年6月9日木曜日

雨と木曜日(86)

2016.6.9.


木曜日更新のエッセイ。
今回は、困ったこと〜スタンドのチコリコーヒー〜『科学の発見』スティーヴン・ワインバーグ寸評。


5月に初めに風邪を引いてから、体調が低空飛行だ。月末にはまた大きく崩して、それから十日ほど底を這っている。ひどく疲れやすく、気分も上がらないので困ったものだ。食事もしっかり摂っているし、休養も十分なので、あとは待つしかない。そのうち、元気が出てくることを願う。ライター仕事をもらったり、新しく書き物を始めたり、こうしている間にも転換点が生まれてくるので、のちのち道が開けてくるだろう、と思っている。

ポプラの絮が降っている

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青空の日曜日。円山公園へ散歩に行ったら、コーヒースタンドが出ていた。ワカバコーヒーというワゴン車に大きなパラソルを差して、コーヒースタンドにしている、なかなかにおしゃれなお店。道産小麦のパンやクッキーを売っているのも、札幌らしいと感じる。道産はみんな好き(なのじゃないだろうか?)。そこで、ノンカフェインのチコリコーヒーを買うと、なんともいい香りがしてチコリの根を煎じたな、って気分になれる。


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『科学の発見』。ざっとだけれど、目を通した。「不遜な」と銘打った科学史の本であり、アリストテレスやデカルトの功績を現代の科学観に照らして価値を下げることで話題を呼んでいる。ところが、科学史の基礎訓練を積んだ者なら、これが単調な進歩史観にすぎず、面白みもなければ、数ある方法論やありえる反論を踏まえてもいない不勉強な独断論に見えると思う。入門書としても人気が出ているようだけれど、従来の本をおすすめ。

【書誌情報】
『科学の発見』、スティーヴン・ワインバーグ、赤根洋子訳、文藝春秋、2016

たとえば、
『科学革命』 (サイエンス・パレット) 、菅谷 暁訳、山田 俊弘訳、丸善出版、2014
は入門書としても教科書としても使える。わかりやすさ、緻密さが素晴らしい。