2016年9月1日木曜日

【ご報告】本のカフェ第36回@札幌

日時:2016年8月20日(土) 18時〜
場所:詩とパンと珈琲 モンクール
参加人数:14名
参加費:1500円(パン・ドリンク付き)


今回は、サイエンスからビートルズ、数学、ギリシア神話と幅広い本が紹介されました。



一冊目は、『元素周期表で世界はすべて読み解ける』。著者は医学博士。元素と医学、また健康の話が多い。紹介者さんは、全体を俯瞰できる本が好き、とのことで良い新書だったようだ。四大公害の化学的な部分に触れつつ、元素表の縦の関係を読み解く。また、元素番号で言えば、存在量の多いものほど番号は小さくなる。生命はこれらを利用してきたので、番号の小さいものほど必要とされやすく、大きいものほど有害では、と。


二冊目は、『ビートルズ来日学』。2016年の新刊で、音楽評論家の手になる。図版も多く、どこから読んでも楽しめる。台風の影響でアンカレッジを経由して羽田に来たビートルズ。タクシーの運転手、ホテルの担当者、さまざまな場面でかかわった人への取材からわかるエピソード。なかでも、ポールの人柄がすばらしいと紹介者さん。日航の客室乗務員がレノンのサインをもらうときに助け、仕立て屋にはユーモラスな賛辞を送ったとか。


三冊目は、ヘルマン・ヴァイル(ワイル)『シンメトリー』。美しさには数学的な理由がある、という話から興味をもって読まれたという。たとえば、雪の結晶の形は微分方程式で決まる。自然界には虫の巣や右手と左手など、左右対称、鏡像関係にあるものが多い。それら対称性においては、幾何学と方程式(代数学)が群論で統一できる。最後に、実際の世界は対称性が少しだけ崩れて成り立つ、というワイル以後の論点にも触れる。


四冊目は、石井桃子編訳『ギリシア神話』。ミッフィー、プーさん、ピーターラビットといった翻訳を手がける石井さんが小学校高学年向けにギリシア神話を届ける。まえがきを朗読くださった紹介者さんは、古代ギリシアは不思議に充ち満ちていた世界、という語りに魅了されたという。また、「砂漠にも小人がいてさみしい場所がひとつもない」というフレーズにも。ナルキッソス、パンドラ、イカロスなどの話は一文ごとに多くを想像させる。


19時半頃に、紹介タイムが終わり、フリータイムへ。いつもの美味しいパンが運ばれ、ワインの栓が抜かれ、ジュースや珈琲・紅茶のソフトドリンクも。ビールで酔って楽しむ方々もいらっしゃいました。





結局、盛り上がって21時半頃まで5,6人で残っていました。お越しいただいたみなさん、とりわけ紹介者の方々、夜遅くまでつきあってくださったモンクールのオーナー、これを読んでくださっているみなさま、ありがとうございました。


主宰・文責・写真:木村洋平

【書誌情報】
『元素周期表で世界はすべて読み解ける』、吉田たかよし、光文社新書、2012
『ビートルズ来日学 1966年、4人と出会った日本人の証言』、宮永正隆、DU BOOKS、2016
 参考:『MUSIC LIFE ザ・ビートルズ日本公演1966』、シンコー・ミュージック、ムック本、2016
『シンメトリー』 、ヘルマン・ヴァイル、遠山 啓 訳、紀伊國屋書店、1970
『ギリシア神話』、石井桃子編訳、のら書店、2000