2016年11月17日木曜日

雨と木曜日(105)

2016.11.17.


木曜日更新のエッセイ。
今回は、札幌ディズニーランド〜「珈琲文学」〜マンロウのリコーダーCD。


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東京は寒暖差が激しいものの、小春日和はうれしい。それにしても、札幌が恋しくなる季節。向こうは、大雪も解けて気紛れなみぞれや吹雪と聞くが、11月はアートフェアに通ったし、大通公園はそろそろミュンヘンクリスマス市が始まり、真冬のイルミネーションも敷かれる頃。この時期は日照時間も少なくなり、急な冬模様で心身つらいが、それでも街中はいっそう輝きを増して異国の雰囲気が強まる。どこかディズニーランドのように。

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「珈琲文学」という言葉を発明した。といっても、珈琲の出てくる文学ではない。「霞ヶ関文学」という言葉があるように、珈琲の風味を説明した表現の面白さに着目。たとえば、こんな具合。「ピーナッツ、ジンジャージャスミンのようなフレーバー、クリーミーマウスフィールとシロップのような甘さが特徴のコーヒーです」。なんだか、ワイン通のワイン談義にも通じそうだが、実際に味わってみると、なかなかどうして、この表現に納得する。


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今回は、本でなくマンロウのリコーダーCDを紹介したい。11月9日に発売され、Amazonでは在庫切れが続出しているという5つの国内版。マンロウは古楽の黎明期にリコーダー奏者ほか、マルチタレントな活躍ぶりを示して33歳で夭折した「天才」。いまなお新しい光を放つ前衛的な挑戦の数々。20世紀の音楽までを扱い、歌とリコーダーを融和させ、古楽研究の真正な成果と自在な楽しみ方をともに炸裂させる。

「グリーンスリーブズ」国内版。ワーナー/ERATO 
 中世と20世紀を橋渡し。ヴォーン・ウィリアムズがまた素晴らしい。
「リコーダーの芸術」2枚組、国内版。ワーナー/ERATO
 意義深い「リコーダー小史」と、マンロウ自身の曲目解説を含む、充実のライナーノーツ付き。
ほか3枚(3セット)発売中。