2016年12月20日火曜日

本の読み方ー編集者流?

出版業界のすぐれた編集者から、本の読み方を教わった。知の「無限ネットワーク」とでも言えそうな世界。

僕が「はじめの一行から最後の一行まで集中して読まないと気が済まない」と言ったら、「ぼくはそういう読み方はしない」と。

その編集者によれば、本にもよるが、そもそも雑誌や過去の書き物から収拾して一冊にまとめあげるものがある。そういう場合、ある記事が本に収録されるかされないかは、偶然によるところも出てくる。そういう意味では、「著者」の書いたことや書きたいことはいろんな箇所にいろんなかたちで出てくるもので、「一冊の本」を境界線としてそこまで重視しなくてもよいのではないか、と。

だから、拾い読みや速読もおそらく含めて、自分が気になった箇所に線を引く、線で囲うといったかたちで自由に読むのだそうだ。

彼の話を聞いていると、思想界隈でも美術界隈でも(人文系なのだが)、総体が頭に入っていることがよくわかる。知の「無限ネットワーク」とでも言うべき、言説空間から、定説となっているところ、新しいところ、特徴的なところを勘所よく押さえている。

僕のような読み手は、オリジナリティの追求の方に先走って、偏った読み方を楽しむ気配ありなのだが、きちんと頭のなかに知の地図を描いているところ、読み方と併せてさすがだな、と思った次第。