2017年1月12日木曜日

雨と木曜日(112)

2017.1.12.


木曜日更新のエッセイ。
今回は、梅が咲く、探梅、ジョン・レノン〜隙間時間のドトール〜ヴェルヌ『地底旅行』。


早くも梅が咲いているのを見かけた。2月初旬のイメージだったが。そういえば、日脚も伸びて来た。俳句には「探梅」(たんばい)という季語がある。文字通り、梅を探して歩き回ることで、芭蕉がこれをおこなったのが起源と言う。今年は探梅する間もなく、青空を見上げたら見つかった。ちなみに、そのあたりでジョン・レノンに似た風貌のおじいさんと行き交った。隣を歩いていたおばあさんがオノ・ヨーコに似ていたか、確認していない。

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珈琲は、隙間時間の一杯が貴重に感じられる。お店に入ればなおさら。僕は以前からドトール贔屓で、あちこちにあるのもいい。特別美味しい珈琲を飲むぞ、という意気込みもいらず、肩の力を抜いて楽しめる。安いけれど、手抜きの味ではないし。シューシャポー、フォンダンショコラ等々、ときどき新製品を出すのもよいよね。ルイボスティーもよかった。とはいえ、ミラノサンドのラインナップはころころ替えなくてもよいのに、と思ったり。

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ヴェルヌの『地底旅行』を読んだ。フランスならではの乾いたサービス精神を感じるエンターテイメント小説。十代にして「これからは空想の世界で書く」と心に決めたヴェルヌの傑作のひとつ。500ページのうち、はじめの1/3は地上で、地下への洞窟に辿り着こうとするうちに過ぎる。こういった冗長さも名作ならではか。地底の世界は想像力にあふれて、楽しくわくわくしながらページをめくれる。軽やかさに科学的知識がスパイスとして加わる。

『地底旅行』、ジュール・ヴェルヌ、高野優訳、光文社古典新訳文庫、2014