2017年8月17日木曜日

雨と木曜日(140)

2017.8.17.

六本木の公園

木曜日更新のエッセイ。
本の出版準備 * 博論をもらった友人 * 末井昭『自殺』。



本の出版準備に追われて、しばし「雨と木曜日」を休載していた。今度出すのは、「遊戯」(遊び)をキーワードとした哲学書で、〇〇哲学(言語哲学、など)といった分類に当てはまらない、世界と倫理の全体に正面から立ち向かう哲学の本。古代ギリシアの、とくにソクラテス以前の哲学を念頭に置きつつ。タイトルは『遊戯哲学博物誌』、9月上旬には書店に並ぶ。

印刷所から来て校正したゲラ

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先日、会った友人から博士論文をもらった。マイナーな社会問題がテーマだが、興味あり、読むのは楽しみ。ところで、その友人はこの一年くらいで笑顔が増えて話題も広がり、快活になった印象を覚えた。以前は、非正規であちこち飛び回っていたし、博論にも追われていた。今年、安定した職を得て、同僚と仲も良いらしく、よい波に乗っているのかも、とうれしく思う。

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末井昭さんの『自殺』を読む。母親がダイナマイトで自殺した、ご本人はダブル不倫で結ばれた、等々のエピソードが作家、末井さんの看板(?)になっている。ご本人は自殺しそうにない人間だと自称しているし、文章も軽々としてその気配はないが、シンパシーを感じるテーマとして追いかけていらっしゃる。本文中に何度も書かれていたのは、「自殺するのは、真面目で優しいひと」ということ。でも、そういうひとが生きられない世の中では、厚かましい人間ばかりになってしまう、とぼやく。