かつてイタリアはトスカナ地方に、ダンチャッテというなんちゃって小説家がいた。
ダンチャッテは作家を志す道の途中で、とある森に迷い込み、そこで小説の神さまと会った。神さまはおっしゃった。
「ダンチャッテよ、作家にとって大切なみっつのものがわかるか」
「ひとつは、古典を読むことです!」
「よかろう」
「ふたつめは、文体を磨くことです!」
「よかろう」
「みっつめは、……ああ、わかりません!」
「教えてあげよう。みっつめは、俗っぽさだ」
神さまは天に帰りました。
「それなら、おれにもできそうだぞ」
ダンチャッテが大成したのか、それはわかりません。