クロード・モネ《サン・ラザール駅》 もっとも印象に残る絵画のひとつ 当時、工業化の最先端だった場所 ベンヤミンを思い出す(『パサージュ論』) |
ふと、こんな問いが浮かぶ。
黄金の十九世紀──ヨーロッパ文化の円熟期、そのあとに来た二十世紀は批評の世紀だった。マーラーを最後に、ベートーヴェンに根ざす美学の伝統は断たれた。花開いたロマン主義はしょせん個人の夢幻にすぎない、とみなされた。
この二十世紀の判断は正しかったのか?──いや、そう問うのはまちがいだ。そうではなく、「十九世紀と二十世紀は統合されうるか」と問うべきだ。それがいまアクチュアルな問いであり、ぼくらの課題だとも言える。