2020年11月2日月曜日

【随想断片集】ブルース・チャトウィン『ソングライン』より


『ソングライン』は旅人チャトウィンのオーストラリア見聞録。アボリジニを取材した小説。多くの思索的な引用を含む。


「人生は橋である。渡るものであって、家を建てるところではない」 インド人のことわざ

「旅をしない者が人間の価値を知ることはない」 ムーア人のことわざ

「俺はここで何をしているのだろう?」 エチオピアのランボー

「心は燃ゆる……放浪に熱く焦がれて……」 叙事詩カレワラ

「強制なくして定住は成り立たない。避けられない状況があるからこそ、働く者は甘んじて人に使われ、川も氾濫するのである」 シュメール人のことば

「そして、ゆるりと歩むこの魂を思え……」 ジョン・ダン

「放浪する民は青と緑を好む」 チャトウィン

「人間は」なんの前置きもなく、彼が言った。「定住するようにはできていなかった」「まちがいなく」彼は言った。「伝染病は核兵器を無用のものにしつつあります」 疲れ果てたハンガリー人の疫学者

ストリーロによると「ナカマ」というアランダ語には「名前を呼ぶ」という意味のほかに「信頼する」「信じる」という意味があるという。 アボリジニの言語について

ソングライン, ブルース・チャトウィン, 北田絵里子訳, 英治出版, 2009