2020年11月21日土曜日

訃報──立冬の明るい朝に

先日、「僕もまたヘレンと再会する」の記事を書いた。ちょうどその記事を書き終えて、小さな神棚に手を合わせていた頃、彼女は永眠された。


翌朝、訃報が届いた。

「昨夜、11時頃、静かに息を引き取られたそうです。隣には(長年のパートナーであった)……さんがいることができて、穏やかな最期だったそうです。」

おふたりとも大変、お世話になってきた方で毎年、会いに行っていた。僕の方は勝手ながら、第二の家族、第二の故郷のように慕っていた。

亡くなられた女性は、抗がん剤による治療が始まっても仕事場に向かい、働こうとしていた。70歳を超えても、週のうち6日は仕事場にいらした。休みの日に顔を合わせると「これから、仕事場を見に行きます。休みの日でもなにか気になるのよ」と言っていた。

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明け方の冬立つ空の美(うるわ)しく彼方の窓に雪や降りけむ

来し方は長き道のりにありにしをけふ帰りなむ御魂ふる里

土笛は夕陽の調べななかまど実れる国に届けとぞ吹く


立冬の明るい空に、清らかな風が吹いている。