2020年12月3日木曜日

ゆっくり歩く

ゆっくり歩く。

焦らないことだ。

ひとをせかしても仕方がない。自分も。

それとも、居ても立っても居られないのか。

***

ミヒャエル・エンデは、アルプスかどこかを旅した時に書き留めた。

「途中まで、旅はまことに順調でした。予定より数日早く、どこどこに到着し、……しかし、そこで案内人たちが座り込んでしまったのです。

彼らはタバコを吹かしながら、なだめてもすかしても前へ進もうとしません。私はたずねました。『ねえ、君たち、先を急ごうじゃないか。なにをしている?』

『待っているんですよ。おれたちのゼーレ(Seele, 魂)が追いついて来るのを……』」

それを聞いてはっとしたエンデは、じっと待つことにした。