「大正時代は、近代日本の青春」──そんな考えをもとに、はるかぜ書房より「大正浪漫ライブラリー」が刊行されました。
第1巻「南部修太郎」は、小品を集めたアンソロジーになっています。私、木村は編集を担当しました。
日本は、明治の激変があった後、大正に入って「デモクラシー」が馴染み、カフェが軒を連ね、ラジオ放送が本格化して、スポーツの中継や音楽が家庭に届き、本や雑誌は全国の津々浦々に情報を届ける。──そんな時代が訪れて、近代日本の原型ができました。今から100年の昔です。
その大正時代の息吹を感じるには、当時の文芸作品を読むのが一番かもしれません。
南部修太郎は、慶応義塾出身で、雑誌「三田文学」の編集長も務めました。川端康成や芥川龍之介ら、当時の文壇メンバーとも交流があります。
南部は体が弱く、病院で死を覚悟するような経験もあり、病気や脆さ、恋をモチーフに叙情性の豊かな小説を残しています。
当時のブームであった「少女小説」も書きました。20世紀で言う「少女漫画」のように、ある意味で「純文学」より低く見られるジャンルも積極的に書いたのです。
また、中国にも旅をして随筆にまとめています。
このような多様な作品について、監修の永井聖剛先生が、豊かな解説文を寄せてくれています。南部修太郎の作風に、「弱さ」や「病」へのまなざしの確かさ、それらへの深い共感を読み取っています。
ちなみに、ブックデザインは、Oruhadesignさんが担当。
「ロシアの詩人、マヤコフスキーの詩集が素敵だ」と、打ち合わせで話して、それにヒントを得たデザインにしています。
Twitterでそのことを書いたら「わかる!」という反響が得られてうれしかったです。笑
購入は大型書店か、こちらからどうぞ!
フォントや本文デザインにもこだわり、読みやすく配置、ルビも多く振っています。ぜひ。