2011年11月4日金曜日

スナフキン・ライフ


 ノマド・ワーキング。ここ2年くらい話題になっている。決まったオフィスを持たず、移動しながら、自分の好きな場所で働く。

 ノマドは「遊牧民」の意味。典型的には、デザイナー、エンジニア、記者、フリーランスといった人たちが、ノートパソコンを主力アイテムとして、カフェで仕事をする、というスタイル。

1)ノマド・ワーキングでは、とくに電源と無線LANの使える環境が好まれる。そういうカフェやコ・ワーキングスペースを、ノマド・ワーカーは拠点にする。

2)持ち物としては、ノートパソコンとスマートフォンは必携。それに、iPadなどのタブレット端末や、ネットブック、充電器、外付けハードディスク、たこ足配線や、USBハブが付け加えられる。持ち物は、軽量級から重量級まで、ノマドもさまざまらしい。

3)もう一点、重要なのは、クラウドサービスだ。クラウドとは、サーバーにデータを預けて、どこからでもアクセス、ダウンロードできるサービスのこと。Sugarsync, Dropbox, Evernoteなどは、ノマド・ワーカーの定番だ。

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 さて、ノマドのワークスタイルを紹介すれば、ざっとこんな感じだと思うけれど、そもそもノマド・ワーキングというのは、そんなに魅力的なワークスタイルなのだろうか?

・アイデアが湧きやすい。・隙間の時間を有効に使える。・満員電車の通勤がない。・私服で働ける。・気分転換できる。・在宅ワークのように籠もらないで済む。

といったメリットが挙げられる。そのほかに、「カフェで仕事をするのは、カッコイイ」といったトレンドもあるようで、これが大きいのではないだろうか。

 たしかに、オフィスでスーツよりは、快適だと思うけれど。最近、スターバックスは、電源や無線LANの提供に力を入れているようで、ノマドたちが、ノートパソコンを並べて、画面とにらめっこしている店内風景も見られる。だが、ちょっと異様だ。以前のくつろいだ雰囲気の方が良かった、という気持ちにもなる。

 おおぎょうな連想だけど、哲学者のヴィトゲンシュタインは、ワーグナーを評して言った。「時代の一歩先を行く者は、いずれ時代に追い越される」と。

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 ここで、僕は、「スナフキン・ライフ」という、新しいワークスタイルを提案したい。それは、ノマドのスタイルからもっと逸脱する、別世界のライフスタイルになる、かもしれない……。

1)スナフキン・ライフは、ノートとペンを主たる道具として、仕事の成果を出すワーキング・スタイルである。アイデアの必要な仕事ほど、スナフキン・ライフに向いている。

2)スナフキン・ライフの道具立てはかんたん。ノートを何冊か、ペンを数本、スケジュール帳……そして、レターセット。

 本物のスナフキンは、ときおり、ムーミン谷に手紙を出すけれど、新しいスナフキンも、手紙を出す。

3)パソコン作業は家に帰ってから。アナログへの逆行だけではない。

 スナフキン・ライフは、ざっと以上のようなものである。