2013年8月18日日曜日

ちょっとしたこと


ちょっとしたことを書きたい。ぼくが親しくしていた、中高時代の友人がいる。彼と数年前にお茶をした。桜の時期で、「男ふたりでなにしてるんだろうね。」などと笑い合いながら、ちょっとおしゃれなカフェへゆき、そのあと川沿いの遊歩道を歩いた。ふたりとも、どこか「ふらふら」していた。舞い落ちる花びらのように拠りどころがなかった。

それから2,3年後に、再び渋谷でお茶をした。彼は「いい場所を知っている。」と言って、穴場と言えるような、夕暮れ時のカフェ&バーへぼくを案内した。彼は「留学しようと思っている。」と言った。「MBAを取りに行くんだ。」

そのとき、つきあっている恋人がいたのかどうか、聞いたが、答えを忘れてしまった。ともかく、いまは結婚してふたりでアメリカにいるはずだ。

ぼくが「あれ?」と思ったのは、渋谷で留学の話を切り出した、彼の雰囲気だった。そのとき、彼は「身を固め」ているように見受けられた。結婚していなくても、すでに自分の道を決めていた。そう、彼は「定住」する場所を見つけたのだ。

彼はもう「ふらふら」しない。あの桜の花のようには揺れない。けれども、ぼくはただ「ふらふら」して——もう少しマシな表現があるとすれば、「旅をするような心持ちで生きて」いたいと思う。

もし、ぼくの友達や知り合いが、「定住」することに、あるいは「定住」させようとする周囲の圧力に、疲れたときにぼくを見かけて「あいつはいいよな。ふらふらして。真似したくはないけれど、見ている分には悪くないかもしれない」と思ってくれるなら、そうあってもいい。