2014年6月23日月曜日

【ご報告】本のカフェ第7回@札幌(琴似、ソクラテスのカフェ)

2014年6月22日 14時〜17時

今回は、前回と同じソクラテスのカフェにて。僕を含めて7人の会となりました。ポータブルのスピーカーを持参し、音楽をかけながら楽しく始まります。


一人目の紹介者は、初めての紹介となる僕。『計画と無計画のあいだ』は、2006年に立ち上げられた小出版社「ミシマ社」の創業から足かけ5年の記録。おもしろおかしいエピソード集のような趣で読めます。ルールにのっとった「計画」の領域と、無秩序な「無計画」の領域の「あいだ」に自由がある。そんな三島社長の発見をもたらす体験を綴ります。しかし、ミシマ社の本を数冊読んでみて、編集の弱さも感じる、とコメントもしました。


二人目は、フィッツジェラルド『マイ・ロスト・シティー』(本)と、cero(セロ)というバンドのアルバム「MY LOST CITY」(CD)を並列させ、対照的に「失われた都市」を眺めるという、新しい試み。フィッツジェラルドは、好況期のニューヨークに憧れて住むが、夢破れて退廃のなかで去ってゆく。ceroは震災・原発事故後の東京を扱い、都市に「仮想」だけでなく「土の香り」を感じとるような身体感覚と希望をもっている。


三人目は、大塚英志『「彼女たち」の連合赤軍』。1972年生まれの紹介者は、自分のルーツを探すひとつのやり方として時代を顧みる。たとえば、1973年には「サンリオ」という会社が登場(社名変更)されるが、記号消費の時代の始まりである。サブカルチャーを中心とする評論家、大塚英志は上の著書で、連合赤軍の永田洋子が女性4人を殺害した内ゲバにおいて、文化的な背景を分析、そこから時代を読み解いてゆく。


この後、フリートークタイムとなり、アートルームも開かれました。ポストカードや個展のDMをみなで鑑賞。


話題は、あれこれと広がり、会話での間の取り方、営業マンのメンタリティ、函館の魅力を出身者が語る、恵庭は「花のまち」など。


他方、時代論では、バブルの時代、イケイケドンドンのなかで傷ついたひとたちの話。萩尾望都、竹宮惠子、一条ゆかりらの漫画家の暗さについて。


二次会は、近くのカフェへゆき、2時間半ほど5人で語らっていました。映画の話(「風立ちぬ」)、翻訳ミステリーの話、読書会の話、ウルトラマンの背景音楽がシューマンのピアノ協奏曲だった話などなど、テーマはあちこちへ、話は尽きない。本のカフェを一日に2回やったような充足感がありました。

二次会の会場

今回も受付や写真を手伝ってくださったゆーうちさま、紹介者の方々、初参加、リピーターの方、スタッフのNさん、ありがとうございます。楽しい時間を過ごすことができました。

【書誌情報】
 『計画と無計画のあいだ』、三島邦弘、河出書房新社、2011
 『マイ・ロスト・シティー』、フィッツジェラルド、村上春樹訳、中央公論新社、2006
 『「彼女たち」の連合赤軍』、大塚英志、角川文庫、1996

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

余談:「本のカフェ」は、メンバーの流動性の高い読書会だと思います。リピーターの方は毎回少数いらっしゃいますが、固定メンバーというのはありません。初参加の方は多い方だと思います。ついでに、場所もあちこちのカフェを転々としている……。

そんななかで、リピーターの方々に支えられている、と思うのは、毎回が初めてのイベントであるかのように参加してくださること。始めから一貫してオープンな場作りを目指してきた僕にとって、それはとても助かるのです。いつでも、初参加の方々を受け入れよう!という雰囲気を作ってくれる、リピーターの方々に厚く感謝していることをお伝えしたいと思います。