2014年7月10日木曜日

【ご報告】本のカフェ第8回@札幌

2014年7月6日(日)18:00 - 21:00
大谷地のサッポロ珈琲館にて。

今回は、12名の参加者があり、3名の紹介者による本の紹介がおこなわれました。はじめの自己紹介タイムでは、お名前とお題「小中高校、いつの時代でもよいから、好きだった科目」についてしゃべってもらいました。


一人目は、『人間関係は「感情」で動く』という本を紹介。「たとえば、紹介者の僕がいま、ぼそぼそしゃべり始めたら、第一印象は悪くなるし、すでに知っているひとなら、体調を心配するかもしれませんよね?」こんな風に、ひとは話の内容や理屈ではなく、「感情」の部分で動くのだ、というお話。著者は「ひとを好きになることの大切さ」も説いています。自己啓発書は、本のカフェでは初めて。明るく元気で、楽しめる紹介でした。



二人目は、『バイ貝』という町田康さんの小説。なかなかにナンセンスな文章を朗読してくださいます。あいだあいだに、ストーリーの解説も忘れない親切な紹介。ドストエフスキーの小説より「貨幣は鋳造された自由である」を引用しながら、たまりゆく鬱を散ずるためにお金を使う主人公。ホームセンターで鎌をひとつ買うのに、数十頁かかります。おかしみとかなしみがこみ上げる小説で、読む前から笑っていたという紹介者さん。愉快でした。




三人目は、『藻類30億年の自然史』という本。サイエンスの本が紹介されるのは初めて。人文、文芸の好きなひとが集まりやすい本のカフェで、今回は、理系の紹介者さんがノートパソコンを掲げて、プレゼンテーション。わかりやすい図に、美しい藻の姿。進化の系統樹に分類される生物たち。「動物というのはごく一部」「植物でさえ、ここだけ」ほかは菌類やアメーバやたくさんの単細胞生物の世界。みんな、興味津々で、質問も飛び交いました。



ちょうど、90分ほどで前半の紹介タイムは終了しました。さて、後半はくすみ書房を回るツアー付き。同じ施設の2階では、やさしい笑顔の久住社長が待っていて、店内を案内してくださいました。当初は、「15分くらい」の予定が、参加者のみなさん、くすみ書房に強い引力で引き寄せられたため、ほぼ90分、本屋さんのなかで過ごすことに。思い思いの本を手に取り、また買いながら……。



後日のメールでも、「またゆきたい」「とてもよかった」「何時間でもいられそう(笑)」といった声が届きました。さすが、くすみさん!今回、初めてくすみ書房を知った方もけっこういらっしゃいました。


集合写真を撮ったあとは、22時まで二次会になりました。硝子細工をもってきてくださった方がいて、コップに絵模様を彫り込むのですが、素敵な作品群。みんなで拝見しました。


みなさま、今回もありがとうございました。いろいろとお気遣いくださったサッポロ珈琲館、店長の山下さま、にこにこと笑顔で案内してくださった久住社長にも、お礼を申し上げたいです。参加してくださったみなさま、紹介者のお三方、受付と司会進行を助けてくださったゆーうちさま、写真係を引き受けてくださったYoshimotoさま、そして、いまこれを読んでくださっている、いつも遠くから見守ってくださっているみなさまにも、厚く感謝の意を伝えたいと思います。

木村洋平(主催・文責)

後日談、こんな植物を見かけて「藻類の自然史」を思い出したのでした……。


* 今回、使用された写真は、Noriko Yoshimotoさんが撮ってくださったものです。本棚と植物の写真だけは、木村が撮りました。Yoshimotoさん、素晴らしい写真を本当にありがとうございました。

【書誌情報】
『人間関係は「感情」で動く』、和田秀樹、新講社、2011
『バイ貝』、町田康、双葉社、2012
『藻類30億年の自然史ーー藻類からみる生物進化』、井上勲、東海大学出版会、2006

追記:すばらしく文章の上手い参加者の方が寄せてくれた、今回の本のカフェについてのレポートがこちら(http://d.hatena.ne.jp/CultureNight/20140714/1405314508)。ブログ「静寂(しじま)を待ちながら」より。ボリュームも充実して、その場の雰囲気を浮かび上がらせるように伝えてくれます。よろしければ、併読ください。丁寧なレポート、ありがとうございました!