2014年8月15日金曜日

【ギャラリー】トオンカフェ〜ギャラリー犬養

2014.8.15.

今日は幸運にも、トオンカフェとギャラリー犬養を回ることができました。レポートをお届けします。

いま、トオンさんでは松浦シオリさんの個展を開催。本の装丁も手がけられる、画家、詩人、イラストレーターさん。


「少女らによる共有論」

この絵は、髪の色が白く、そのまま背景に溶け込んでいるのがユニークですね。右上の黄色い光は写り込みです。失礼しました。(髪の白は、試してみてこれで行こう、と思った偶然の?アイデアだそう。)


ちなみに、タイトルの隣にはこんな詩文が添えられています。

「窮屈と思えばせまい、
限りないと思えば、果てしない。
(少女らによる共有論)」



木曜日の少女

「あの子は知らない。
僕が、
蛙のように泳ぐこと。」

DMにもなり、個展のタイトルにもなっている絵と詩文。7人の少女が描かれていますが、主に視線と手の動きによって連ねられ、群像を出現させています。

右から3番目の少女だけが、視線を「絵画の枠」を破ってこちら、観る側に飛び出させています。彼女だけが、絵画空間のなかと外を橋渡ししている。松浦さんご自身も、そう描いたのです、とおっしゃっていました。


この絵は新作ですが、上村松園を思わせました。上村松園の描く女性の帯には、クジャク柄のものがあるそうで、それを真似たのだと松浦さんの談。たしかに、帯の存在感は大きい。


これも写り込んでしまいましたが、白い絵です。僕は気に入りました。どことなく退廃的なムードの漂う作品群のなかで、清楚な絵です。松浦さんの個展は8月24日(日)まで!


ところ変わってギャラリー犬養。"HOTEL MOONSHINER〜月光密造者のために〜/本田征爾 個展"。上は、本田征爾さんの「月の舟」。かなり入り組んだ不可思議な立体作品です。


「トゲカゴドリ」

どの角度から観ても楽しめる作品群。とりわけ、この鳥のなめらかな頭部と、フォルムが気に入りました。


2階への階段を上ると、目の前に「月光密造者」の一節が。稲垣足穂の引用でした。そして、そのまた上にはこんな立体が飾ってあります。針金の影を楽しむ趣向なのですね。


同じく2階にて。魔女でしょうか。角、黒い衣装、黒い馬、鏡、その部分にもかかわらず、全体はどこか可愛らしいような、ユニークさを湛えています。


これも植物のようですが、影を楽しむ作品ですね。そして、僕が一番惹かれたのはこちら。


「蓋をゆっくり開閉して内側も御鑑賞下さい」

「開封された虚空の容器
ミクストメディア
(パレット、紙、歯車、蜜瓶、約1億8千万年前のアンモナイト)」

こちらは川口巧海さんによる、ちょっと変わった立体作品。眠る少女の顔が穴から覗いていますが……。


黒塗りのパレットを開くと、真ん中にアンモナイト。その後ろの絵は、銅版画家である川口さんご自身の絵を切り取って貼ったもの。右下には歯車。なにもかもがぴったり、うまくはまっています。あるべきところに収まっている。素晴らしい作品だと思います。

ギャラリー犬養さんの今回の個展は、8月25日(月)まで!

おかげさまで、充実した一日を過ごせました。ありがとうございます。