2014年10月16日木曜日

ネイティブ・アメリカンについての詩

ネイティブ・アメリカン(インディアン)と親交があった著者による詩集より。著者自身は、ふつうのアメリカ人だが、この詩集にはネイティブ・アメリカンの力強い精神が息づいていると感じる。

拙訳でふたつの詩を紹介したい。タイトルはともにない。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

The rock strengthens me.
The river rushing through me
Cleanses
Insists
That I keep moving toward
A distant light
A quiet place
Where I can be
Continuous
And in rhythm with
The song of summer
That you have given me.

岩はわたしを強くする。
川は激しくわたしのうちを駆け抜け
清めながら
告げる
遠い光を
静かな場所を
目指して動き続けよ、と。
そこで居場所を得られるように
あなたがわたしにくれた夏の歌のリズムのうちで。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

Hold on to what is good
even if it is 
a handful of earth.

Hold on to what you believe
even if it is 
a tree which stands by itself.

Hold on to what you must do
even if it is
a long way from here.

Hold on to life even when
it is easier letting go.

Hold on to my hand even when
I have gone away from you.

善きものを握りしめなさい。
それがひとかけらの大地であれ。

あなたの信じるものを握りしめなさい。
それが自らによって立つ一本の木であれ。

あなたがなすべきことを握りしめなさい。
それがここからの長い道のりの果てであれ。

生を握りしめなさい。
それを手放した方が楽なときであれ。

わたしの手を握りしめなさい。
たとえわたしが永遠に去ってしまっても。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
僕はネイティブ・アメリカンの思想、信仰に一番、強く惹かれる。

詩は『今日は死ぬのにもってこいの日』(原題:MANY WINTERS)に掲載されている。上記は拙訳だが、この本は対訳になっている。訳もよい。

また、ネイティブ・アメリカンの生活誌については、河出文庫の『インディアン魂』が緻密でおそらく正確な取材に基づき、良書と思われる。

【書誌情報】
『今日は死ぬのにもってこいの日』、ナンシー・ウッド著、フランク・ハウエル画、金関寿夫訳、めるくまーる、1995
『インディアン魂』、レイム・ディアー口述、リチャード・アードス編、北山耕平訳、河出書房新社、1998