2015年5月11日月曜日

【ご報告】本のカフェ第18回@札幌

日時:2015.5.10.土 15-17時
場所:Cafe & Shop Seed
参加:10名
参加費:1500円


地下鉄、西18丁目駅から徒歩1分、カフェ&ショップのSeedさんで本のカフェ。オリーブオイルを使ったシフォンケーキとアイスクリーム、コーヒーや紅茶を片手に3人の紹介者さんがお話ししてくれました。



一冊目は、広瀬浩二郎『さわる文化への招待』。著者の広瀬さんは13歳のときに全盲になり、京都大学で博士号をとったあと、現在は民族博物館に勤務。「弱視、全盲、晴眼者」という言い方に対して、「触常者、見常者」という言葉遣いを提唱する。紹介者さんは点字についても説明。6つの突起で50音と濁点、拗音を示す。「きれいな」点字は、突起の高さ(打つ強さ)や間隔がわかりやすいものだという。点字が並ぶプリントを配布してくれました。


二冊目は、鹿島茂訳『パンセ抄』。NHKテレビテキストも添えて。『パンセ』はパスカルの著書だが、未編集の断章が原稿として残されたもの。後世のひとが編纂した。デカルトの思想に対抗して、キリスト教を擁護する(神なしの世界観は許容できない、として)立場をとる。こうしたところが現代の日本人にはわかりにくい部分もあるが、格言のような内容は現代に十分、通用する。空手家の大山倍達の座右の銘はパンセの一節、という話も。


三冊目は、『ベーシックインカムとジェンダー』。ベーシックインカムはすべてのひとに無償で現金の給付をおこなう制度で、導入の検討がたびたび取り上げられる。しかし、それらはオヤジの学者による細かな議論がほとんど。ということで、女性たち9人が、マイノリティ、貧困、フェミニズム、労働運動、生きづらさを抱える、などのさまざまな立場から現場の感覚でベーシックインカムを語る、というエッセイ風の本書が出された。

フリータイムでは、三冊目の話題から「子どもの貧困」や「虐待」のテーマに話が及ぶ。まじめな勉強会のような雰囲気もありつつ、有機珈琲をおいしく飲む和やかな場面もあり、おしゃべりをしながら二次会へ続きました。

主宰・文責:木村洋平
写真:N.Y.


【書誌情報】
『さわる文化への招待ー触覚でみる手学問のすすめ』、広瀬浩二郎、世界思想社、2009
『パンセ抄』、ブレーズ・パスカル著、鹿島茂訳、飛鳥新社、2012
『ベーシックインカムとジェンダーー生きづらさからの解放に向けて』、共著、現代書館、2011