2015年6月11日木曜日

雨と木曜日(50)

2015.6.11.


毎週、木曜日更新のエッセイ。今回は、くすみ書房閉店〜サッポロ珈琲館ハワイ・ノースショア〜『ギリシア神話』串田孫一。



くすみ書房、閉店のニュース。札幌の名書店「くすみ書房」さんは、全国的に有名な取り組み「売れない文庫フェア」や「中学生はこれを読め!」で「街の本屋」にこだわりながら(つまり、本好きだけが集まる特殊な本屋ではなく)経営してきた。「本屋のオヤジのおせっかい」シリーズは、数々の素晴らしい棚を作り出して、小学生から高校生、大人に向けても発信を続ける。あの棚の並びをあと十日のうちに、目に焼きつけておきたい。

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サッポロ珈琲館、くすみ書房のそばにある「大谷地店」にはよくお世話になった。ふしぎなサービスがあって、ポットで二杯分出す、ストレートコーヒーないし素敵なブレンドたちのメニューが並ぶ。800円くらいするから、ひょいと気軽には飲めない。一杯分の抽出では、粉の量が少なくてうまく抽出されないのだろう。だから、二杯分になる。ハワイ・ノースショアを頼んでみた。爽やか、癖がなく、やわらかい。酸味が思った通り良い。

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『ギリシア神話』。アポロドーロスのものがギリシャ時代の本として、岩波文庫で手に入る。ほか、ローマ時代にオウィディウスが編纂したり書き加えたりしたんじゃないか、と思っているが、『変身物語』(上下)が岩波文庫でやはり読める。ここらが原典なのだろうが、今回、読んだのは串田孫一さんの手になる本。当時(初版は61年)の研究を参照しながら、一般読者向けに簡潔なかたちでまとめ直したもの。くっきりした文体。


【書誌情報】
『ギリシア神話』、串田孫一、ちくま文庫、1990