2015年7月9日木曜日

【ご報告】本のカフェ第20回@札幌

日時:7月4日(土) 15-17時(14時半、受付開始)
場所:Cafe & Shop Seed のレンタルルーム
参加:10名
参加費:1800円(ドリンク、ケーキプレート付き)学割:1200円


今回は、落ち着いた雰囲気で開催できる、Seedさんのレンタルルームにて。ヘルシーなスイーツプレートに有機珈琲を合わせられた方も多かったですね。



一冊目は、レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』。著者は、1907ー1964を生きた海洋生物学者。独身で通したが、養子のロジャーを山や海で育てた、その体験から生まれたエッセイが本書。自然の「神秘さや不思議に目を見張る感覚」をタイトルで言い表す。有名な『沈黙の春』によって環境問題の提言の先駆となるとともに、本書は「環境教育」の先駆となり、ユネスコの活動にも影響を与える。紹介者の想いや体験談も。


二冊目は、「中村うさぎ、マツコ・デラックス」と「シューマンの生涯」を掛け合わせた、異色の合わせ技。「わたしたちは魂を売ることでしか生きていけない」とマツコに言う中村うさぎ。ゲイで女装して見た目をも売り物にするマツコ・デラックス。他方、ピアニストを目指すも挫折し、作曲家になったシューマンは、波乱の結婚生活ののち、内向性と社会不適合により精神病院で亡くなった。三者三様のアイデンティティを売る人生を描く。


三冊目は、『回転木馬のデッドヒート』。その短編から、村上春樹の世界観を探るという意欲的なご紹介。A4でびっしり6ページに渡るレジュメをご用意してくださり、紹介はきっちり15分に収める。1.クールな運命論とニヒリズム、2.西洋的思考法の典型を扱うこと、3.巨視的な比喩の体系を構想すること、とりわけそこから「真実」へ迫ろうとする35歳(前掲書、執筆時)の村上春樹の意志、を描き出してくれた。


17時で終了したが、10人中9人(と僕)が残って、2時間の二次会へ。アイスクリームを食べながら、雑談。漫画の話から、数学の話まで。ひとり一冊、おすすめの著書を紹介する一幕も。


今回は、思想系で力の入った紹介ばかり、手応えを感じた方も多かったのでは? おもしろかったですね。

Seedのオーナー、ママ、スタッフのみなさま、そして参加者の方々、ありがとうございました。受付と写真を担当してくださったUさんにも大感謝。

次回は、7月19日(日)夜@札幌のトオンカフェです。定員まであと少し。お待ちしております。

主宰・文責 木村洋平
写真 Uさん、木村

【書誌情報】
『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン、上遠恵子訳、新潮社、1996
『うさぎとマツコの往復書簡 全身ジレンマ』中村うさぎ、マツコ・デラックス、双葉文庫、2014
『シューマン 愛と苦悩の生涯』若林健吉、新時代社、1999
『回転木馬のデッドヒート』、村上春樹、講談社、2004