そこで、わたしは「不思議な慣習だと思った」と感想を述べた。それは、ヤノマミが死者を忘れ、死者について語らず、それは思い出すと泣いてしまうから、という理由によるという風習についてだった。
けれども、ここ半年くらい、わたしはたびたび死んだひとたちのことを考えてきた。生前、面識のあるひと、そして祖父母。
それについて、家族や親戚と語らうことはなかったが、何度も祖父母の街を思い出し、家を思い出し、いっしょに食事をした数年前の風景をあざやかに思い出した。
不思議なのは、最近、亡くした祖父母ばかりでなく、2年半前に亡くした祖母のこともいっそう思い出すようになったことだ。
こうして、死について考えるほど、わたしは死者について多くを語らなくなり、ついでそれが「泣いてしまうから」であると今わかった。