2016年1月31日日曜日

【ご報告】本のカフェ第27回@東京

日時:2016年1月23日(土) 15-17時
場所:カフェ・カルフール(恵比寿)のレンタルルーム
参加人数:9名+主宰
参加費:1000円+ワンドリンク


約5ヶ月ぶりの東京開催でした。広々とした明るい部屋でお茶や珈琲を飲みながら、自己紹介をして開幕。



1冊目は『ストーナー』という海外小説。田舎にある大学の助教授の人生を描いてゆく物語。特に物語として劇的なことが起こるわけではなく、誰しもが経験しうることを淡々と書いている作品です。しかし、だからこそ共感するひとも多いのではないかとは紹介者さんの談。紹介者さんの印象に残ったというシーン(主人公の英文学への目覚め、結婚、仕事、子育て、戦争で先に死んでしまった友人との思い出、最期の時)を駆け足で紹介されました。


今回は、いわゆる「ネタバレ」についてどこまで許容するか、という点を運営側として考えるきっかけにもなりました。(紹介者の方がストーリーの大半を要約してくださったので)。いまのところは、紹介者さんの裁量にまかせています。


2冊目は『石の花』という本のカフェ初の漫画でした。1941~45年の旧ユーゴスラヴィアが舞台の話です。「5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字」があると言われるほど混沌とした当時のユーゴスラヴィアが、ドイツの支配から独立するまでを分かりやすくかつ丁寧に描いており、当時の事情を知るためにも良い作品とのこと。「石の花」とは、作中でヒロインが鍾乳洞の石筍を花に見立てて表現したものなのだとか。「石の花」のように物語全体に渡って、見立て=想像力がテーマになっているという話も。


3冊目は『星の王子さま』。キツネと王子さまが友達になる場面で出てくる”apprivoiser”(飼い慣らす)という言葉とその各国語訳についての紹介、そして英語での定訳である”tame”という言葉と日本語訳での言葉について検討されました。英語には、”apprivoiser”に相当する語が、ゲルマン系の語である”tame”とラテン語系の語である”domesticate”の2つがあるけれども、なぜ英訳では”tame”が定訳なのか?また日本語の場合は、どんな訳が最適訳か。「飼い慣らす」なのか「なつかせる」なのか、はたまた…といったことが語られました。


このトピックについては、詳しいレポートを紹介者のみかり(@micaristyle)さんがご自身のブログにアップしてくれています。こちらも併せてご覧ください。


フリータイムは、さきの「アプリヴォワゼ」をどう訳するかという、長年の問題について語り合うところから始まり、『ストーナー』のイタリア語版の言葉遊び、石の花の出版のタイミングとユーゴ内戦について、などなど、とくに言語についての話題が多かったですね。


また、オブザーバーの方で、星の王子さまのペーパーバックをたくさん、ベトナム語、ポーランド語、アラビア語、イタリア語、カタルーニャ語、などの版を持って来てくださった方がいて、並べるととても楽しい光景になりました。


和気あいあいとした雰囲気が感じられて、良い集まりであったように思います。参加者のみなさま、ありがとうございました。また、SNSほかで応援してくださった方々にも謝意を伝えたいと思います。

またお会いしましょう!

主宰:木村洋平
文責:オルくん、木村洋平
スペシャル・サンクス:オルくん、細原さん

* 紹介タイムのレポート(1冊目/2冊目/3冊目の三箇所)は、オルくん(Twitter:@Orpheus00)に執筆をお願いしました。受付も快く引き受けてくれて、どうもありがとう!

* YouTube動画は、細原さん(@anthony_24)が機材を用意し、撮影してくれました。ありがとうございます。

* みかりさんは、オンライン英語サークル「コトコト英語」や、言葉についてオンラインをメインに語り合う「コトオンことのわ」などを主宰する、パワフルな英語講師さんです。『星の王子さま』紹介とブログでの詳細なレポート、ありがとうございました!
Twitter:@micaristyle
ホームページ:http://coto-on.com/
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