日時:2016年4月10日(日)13ー15時
場所:カフェ・カルフール(恵比寿)
参加人数:11名+主宰
参加費:1000円+ワンドリンク
自己紹介ののち、どの話のどの結末が気になったか、というところから話を始めました。
まず、「ロダーリはNHK的な、無難な結末、ハッピーエンドや教育的な結末を勧めている」という意見が出ました。その例外となる話に共感を覚える、と。
魔法使いがすぐれた機械文明に触れて「失職」する短編については、スキルアップを目指す結末が『チーズはどこへ消えた』と似ている、という指摘も。
3つの結末を、たとえばそれぞれ「お金」「正義」「好奇心」が満たされる結末、と分析できるような話もある。
また、結末ではなくアイテム(小道具)に注目すると、「空から降る帽子」「青いチョコレート」などユニークな発想が見られる。これは、『ファンタジーの文法』というロダーリのべつの著書に書かれた物語創作法(「ファンタジーの二項式」と呼ばれる)に依っている、という指摘が得られた。
『羊飼いの指輪』に批判的な評価も出た。もともと『羊飼いの指輪』は、ラジオ番組で子供たちに物語の結末を作らせるプロジェクトに負っている本。そのライブ要素がなくなると、つまらない。結末がひとつに定まっている『猫とともに去りぬ』(ロダーリ)の方が面白い、と。
それから、そもそも「ファンタジー」とはなにか、という話へ。リュートや異次元が出てくるものがファンタジーなのか。RPGやラノベを連想する、とも。物語世界の「前提」(物理法則、魔法の法則など)を現実世界と共有できない作品がファンタジーだ、という意見も出るが、他方で、いわゆる「純文学」だってほとんどファンタジーと言えるのではないか、等々。
概念としてのファンタジーと、カテゴリ(創作ジャンル)としてのファンタジーのふたつを分けて考えた方がいいかもしれません。
そして、少なくとも、ジャンルとしてのファンタジーについて言えば、白人中心主義、キリスト教圏の価値観を強く反映したものとして誕生し、読まれてきた歴史にも言及がありました。
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こうしてレポートをまとめてみると雑多ですが、それぞれの参加者が1回はまとまった発言をする機会があったこと、また、課題図書をみなが素材として共有できたことなど、「課題図書」型の面白さ、賑わいも体験できました。
終了後は、二次会へ。昼間からビールを飲んで盛り上がりました。ご参加いただいたみなさま、応援いただいたみなさま、受付・写真を手伝ってくださったOさん、まことにありがとうございました。
主宰・文責・写真:木村洋平
スペシャル・サンクス:Oさん