2016年5月16日月曜日

『遊戯哲学博物誌』への感想

公開した新しい哲学の本、『遊戯哲学博物誌』に対して、まとまった感想をいただきました。(『遊戯哲学博物誌』についてはこちら:http://www.play-philosophy.com/)了承を得て、以下に公開します。


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哲学者にかぎらず、なんらかの知的活動に心惹かれる人の心の奥底には「この世界を理解したい」という欲望があると思う。昨今出版されている哲学書と比べて本書の特異な点は、この壮大な問いに対して、(たとえば○○研究、など)の中間目標をたてることなく、真正面から文字通り徒手空拳で挑んでいることである。
 存在について、思考について、幸福について、などなど日常生活では浮かんでこないような、けれどもだれもが一度は不思議に思ったことのあるに違いない抽象概念について、過去の哲学者の思考を補助線に、古今東西のエピソードを巧みにおりまぜ、理路と飛躍をバランスしながら語られる。その語りは哲学のそれというよりは、やさしく詩的で、この世界を肯定的に描きたいという著者の意識が通奏低音として流れているようだ。
 その試みが成功しているのは、冒頭で示される本書の思想が「世界とは、あらゆるものが遊戯しているところ」だからだろう。ひるがえって、読者は本書から哲学するという遊戯を覚えることで、世界を肯定する仕方を見つけられるかもしれない。
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貴重な感想をありがとうございました。ご高覧いただいた方、かんたんでも、印象でも、ご感想を伝えていただけると有り難いです。