2016年5月19日木曜日

雨と木曜日(83)

2016.5.19.


木曜日更新のエッセイ。
今回は、リラ(ライラック)の香る季節〜ピーベリー豆〜『インディアン魂』/『わが魂を聖地に埋めよ』


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しきりにリラの花(ライラック)が目につく。さっぽろライラックまつりも大通公園で始まった。道を歩いていて、ふわっとリラの香りに包まれるのは、関東で言えば金木犀が香るのに似ているのじゃないか。はっとする。リラと言えば、紫色を浮かべる方も多いと思うが、白もあれば薄紫もあり、赤に近い色もある。公園ばかりでなく家々の庭に咲いているのも面白い。そういえば、こちらでは桜の木も庭から塀を越えて咲き誇る。あちこちで見かけた。

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早川コーヒーで「ハッピーベリー」を見つけた。これ、ハッピーとピーベリーを掛けているらしい。ピーベリーは「ベリー」類ではなくて、丸豆のことだ。コーヒーの実のなかにごく一部、平たい豆ではなく、小さな丸豆で生るものがある。それをピーベリーと呼び、ときに高値で取り引きされる。稀少だからね。ちがいと言えば、火の通り方がよいこと。それで、実際に飲んでみたが、ふつうのブラジルと変わらなかった。僕の舌ではわからない。

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『インディアン魂』を再読している。ずいぶん無骨なタイトルだと思ったが、内容は素晴らしく、20世紀後半までを生きたスー族の老いたメディスンマンから聞いた話を編集したもの。非道な仕打ちを受けた歴史、生い立ち、スー族の文化、言葉、儀式など、内容は多岐に渡り、具体的である。併読しているのは、『わが魂を聖地に埋めよ』だが、まだ始めの方だが、部族ごとの白人からの迫害の歴史を資料から丹念にまとめたもの。

【書誌情報】
『インディアン魂』(上下)、レイム・ディアー口述、リチャード・アードス編、河出文庫、1998
『わが魂を聖地に埋めよ アメリカ・インディアン闘争史』(上下)、ディー・ブラウン、鈴木主税訳、草思社文庫、2013