2016年7月21日木曜日

雨と木曜日(90)

2016.7.21.


木曜日更新のエッセイ。
今回は、札幌の快適な夏とスヌーピー〜粗挽きで淹れる珈琲〜デカルト『情念論』。


札幌は涼しく緑の心地よい季節。神奈川から来た知人は「天国だ」と言っていた。6月に数日暑かったが、真夏日もほとんどない。8月の第1週が暑くなったら、お盆を過ぎれば秋が来る。北海道が唯一、暦の通りになるのがこの時期、立秋ではないか?……なんて、考えながら気持ちのよい季節に楽しいマンガを読むのはなにより。スヌーピーの去年セレクションで出たものをぱらぱら。英語表現の勉強にもなるけれど、絵だけでも面白い。


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粗挽きで珈琲を淹れる、という技を知った。僕はふだんペーパーフィルターで落としているが、「ペーパーフィルター用」の適正な細かさが決まっているかのように思いなしていた。思えば、ミルも挽き具合を調整できるネジがついているものだが、僕は「これくらいが当然」とやや細かめな指定をしていた。それを粗挽きにすると!表面積は(同じ分量の豆なら)小さくなるから薄く出るが、その分、豆を増やすとまた美味しい世界が開ける。

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デカルトの『情念論』を読んだ。一般向けに書かれたのか、読みやすい。古代ストア派の「情念は悪いもの」という思想を否定し、また、中世スコラ哲学の生理学を継承するところあり、さらにスピノザらの世代へつながる起点でもある。思想史的にあれこれ面白い。情念の座を「脳」に置いているところは、昨今の「脳ブーム」を連想させる。情念の列挙と解説のみならず、「高邁」を説く道徳論や生理学も混ざる、位置づけの作業が豊かになりうる本。

【書誌情報】
『情念論』、デカルト、谷川多佳子訳、岩波文庫、2008