2016年9月8日木曜日

雨と木曜日(96)

2016.9.8.

「なんちゃってパンチェッタ」〜トラジャ〜『ギリシア神話』石井桃子編訳


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先日、料理屋で「パンチェッタ」と名のつく皿が美味しかったので、なにも調べず、見よう見まねで作ってみた。パンチェッタとは豚のバラ肉を意味する語のようで、どう調理してもよいとあとからわかったのだが、ともあれ、再現に挑戦した。トマトと豆のパンチェッタ、とでも名づけられるか。トマトのコクと甘み、豆のボリュームと食感などが美味しく、彩りも楽しい。ロース肉を使ってしまい、「なんちゃってパンチェッタ」になった。

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インドネシアの高級豆「トラジャ」。ここ数年、名前をよく聞く。上品な味わいとアピールされる。とはいえ、ドトールの「本日のコーヒー」でも提供されていたから、ピンキリかもしれない。そのトラジャを近所の喫茶店で100g 買ってみた。粉で買ったせいもあり、部屋のなかに珈琲の香りがふわっと漂ってしばらく余韻に浸った。幸福感。味は、同じくインドネシアの豆であるマンデリンに似た風味が半分、それに上品な酸味や香り。

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児童文学の翻訳家としても高名な石井桃子さん編訳の『ギリシア神話』を読んだ。初版は1958年と古く、古代ギリシア人を「未開人」と表現しているのも可笑しい。2000年にのら書店から復刊されている。ギリシア神話は、原典(ギリシャ・ローマ時代に編纂されたもの)に当たるのも、串田孫一さんといった編者のものを読むのも楽しいが、石井さんのも個性がある。易しく子ども向けに編まれながら無駄がなく、すっぽり包まれる。

【書誌情報】
ギリシア神話、石井桃子編訳、のら書店、2000