2016年10月6日木曜日

雨と木曜日(100)

2016.10.6.


木曜日更新のエッセイ。
今回は、札幌はどんぐりから冬へ〜モカ/エチオピアとイエメン〜ボッケリーニの弦楽五重奏曲。



札幌は寒暖の差が激しい。一週間前まで夏日もあったと思うが、今日は16℃に届くかどうかで雨が降っている。秋晴れも幾日か、気持ちがよかった。公園では、どんぐりもずいぶん地面にこぼれ、割れている。アカナラの高いところから落ちてきて、ぽーんと威勢よく跳ねるのもある。小さな切り株の上で粉々になったどんぐりは、そばに置いてある石で子どもたちが砕いて遊んだものだろう。本州とはひと月ずれている。冬も近い。

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モカ。珈琲好きならなんらかの憧れを抱くこともある。モカは港の名前で、ここからはイエメンとエチオピアの豆が出荷される。その点、国名がつくストレートコーヒーとはちがう。先日、飲んだエチオピアは自然でシンプルな香りがぽうっと立ち、すっと通る喉越しも美味しかった。もっと以前に飲んだ「イエメン・バニーマタル」は複雑な風味が鼻の奥に届くような、大地を踏みしめている味。珈琲とモカは切り離せない。

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関係がないけれど、おしゃれなカフェ

ルイジ・ボッケリーニはチェロ奏者で作曲家。モーツァルトやハイドンと同時代人なんだね。けれども、ソナタ形式にとらわれない。とある弦楽五重奏曲(op.30-6 G.324)を聴いていたら、半ばに「第九」の第四楽章冒頭のイメージを見てびっくりした。静けさのうちに、あるモチーフがずいっと出てくる。どこか二十世紀音楽のようでもある。日本では名前で損しそう(呆っ気リーニ)な気もするが、これからいろいろ聴いてみよう。