2016年10月13日木曜日

雨と木曜日(101)

2016.10.13.


木曜日更新のエッセイ。
今回は、札幌を去る、木々は紅葉するか〜モンベル製のバネ型コーヒードリッパー〜パウロ・コエーリョ『11分間』。


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あと一週間で札幌を去る。これからは東京に拠点を置く。広々とした公園は変わらない風景だけれども、次はいつかと思うと胸に迫る。今年の秋は紅葉が遅く、木々の色づきも地味に感じられる。エゾヤマザクラやモミジはこれから真っ赤になるのだろう。白樺はてっぺんの方だけ黄色く染まっており、下枝は緑の葉をつけている。アカナラは盛大に散るのだが、まだ濃い緑色だから先のことだろう。こちらにいるうちに見られるか。
ななかまどは赤い実をつけている

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モンベル製のバネ型コーヒードリッパー(円錐形)をいただいた。面白いアイテムだ。雑誌で見かけたことはあるけれど、手に取ってみると軽い。これに小さなテントがあれば、野外でコーヒーを沸かして、スナフキンごっこができる。それはともかく、家で使ってみると、素晴らしく美味しい珈琲が落ちた。しかも、二回続けて。これは特殊なカタチに秘密があるのかもしれない。ガスが抜けて空気の入れ替わりが起こる仕組みらしい。

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パウロ・コエーリョ『11分間』を読んだ。『アルケミスト』が大ヒットした作者だ。僕は『星の巡礼』で知っていた。なにやら宗教的な自己啓発を含みつつ、きちんと世俗に落とす部分を心得ている。それでいて、ファンタジー色がある。『11分間』もそんな作品だ。「むかし、あるところに、マリーアという売春婦がいた。」で始まる「疑似おとぎ話」調なのだが、そうする理由はよくわからない。大人の世界の真面目な文学に思えた。

【書誌情報】
『11分間』、パウロ・コエーリョ、旦敬介訳、角川書店、2006