2017年3月23日木曜日

雨と木曜日(121)

2017.3.23.


木曜日更新のエッセイ。
今回は、十勝のキャラメル〜ブーレーズ「主なき槌」〜コミックス『この世界の片隅に』。


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「十勝で候」というキャラメルをいただいた。さっぱりしてナッツかなにかがかりっとして、とても美味しい。一時期、流行った「花畑牧場」のように甘すぎないかな。北海道は「食べ物が美味しい」と言われるが、海鮮やお肉にかぎらず、お米とお菓子にもこだわりがある。お菓子は畜産(バターや牛乳)のおかげもあり、さらにいろいろな工夫が凝らされて多種多彩だ。今回は六花亭のキャラメルだったが、六花亭は外れがないと思う。

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ブーレーズ作曲のいわゆる現代音楽 "Le marteau sans maître"(ル・マルトー・サン・メートル、「主なき槌」)を聴いた。十年ぶりくらいに聴いてみると、歌の部分になぜかバロックのレチタティーヴォや中世音楽の朗唱を感じ取り、親近感を覚える。ギターやヴァイブラフォンなど、さまざまな楽器の響きも楽しい。ところで、カタカナでタイトルを表記すると「3メートルの槌」を連想してしまい、雷神トールやインドラ神をまた連想する…。

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オオイヌノフグリ

原作コミックス『この世界の片隅に』(上中下)は味わい深い。映画を観ていないのだが…漫画の世界には漫画独特の「語法」があり、そんな表現方法のなかでひょうきんでリズミカル、ときにリズム音痴に外してもくれる「すずさん」はよく描かれている。あくまでひとりの市井のひとの視点から、戦争を描く。当時の家のなか、街の風景、ありそうな人間関係、家族の様子も面白い。参考資料も下巻に明記されているが、膨大な量。

『この世界の片隅に』、こうの史代、双葉社、2008