2017年5月19日金曜日

雨と木曜日(128)

2017.5.18.

写真はららぽーと海老名にあるブックカフェ
木曜日更新のエッセイ。
今回は、本の三本立て。『また、同じ夢を見ていた』(本との出会い)*『アイデア大全』*『やかまし村の子どもたち』(児童文学)。



本屋さんで平積みにされた本をぱらぱらとめくって、最初の2,3ページでやわらかな感触を覚え、それから3,4ページで「このお話には悪意のある人物は出てこないし、人を大きく傷つける事件も起こらない」とわかる。逆に言えば、毒にも薬にもならないお話かもしれないが、ちょうど頭を使ったあとで甘い物を欲して、試食したマドレーヌをそのまま買うように、その本を買って家で読むことにした。『また、同じ夢を見ていた』住野よる。


『アイデア大全』をKindleで購入。iPadで開けなくて困ったが、Kindleアプリのアップデートを怠っていたのだった。ハウツー本の類で、ビジネス書、クリエイター向けの発想法を集めている。40種類以上の手法が紹介される。面白いのは、著者が博学を駆使する点で、発想法に絡めて紹介されるエピソード、才人たちの小話が読み応えを増している。さらっと読めるし、相性の合う発想法は自然と印象に残りそうだ。


書評家フーテンのトヨさんが「こんな村に住みたいと子供の頃から思っている」と折に触れて言う「やかまし村」。『長くつしたのピッピ』で有名なリンドグレーンによる3部作の舞台だ。著者は子供の頃、スウェーデンの農家で過ごしたことがあり、それをもとに「やかまし村」が生まれたようだ。一作目『やかまし村の子どもたち』では、もうじき8つになる少女の語りで、とくに大きな出来事は起きないのに喜びに満ちた日々が綴られる。


『また、同じ夢を見ていた』、住野よる、双葉社、2016
『アイデア大全』、読書猿、フォレスト出版、2017
『やかまし村の子どもたち』、アストリッド・リンドグレーン、大塚勇三訳、岩波少年文庫、2005