2018年3月31日土曜日

ピーター・フランクル氏の話

以下、ピーター・フランクル氏の話。彼は、国際数学オリンピック金メダリストで、算数オリンピック創設に力を尽くしたジャグラーだ。

フランクル氏の両親は、ユダヤ系ハンガリー人だった。ナチス・ドイツの侵攻を受け、母はアウシュヴィッツへ送られて(のちに生還)、親と兄弟を亡くした。父は宗教を捨て、無神論者のようになった。

その両親が折に触れて言ったという。

「人間が本当に持っているものは、頭と心の中にある。奪われても残るものは、自分が覚えた知識や技術、心温まる人間関係──。そうしたことを大切に生きなさい」

近世には、家具家財を売っても本だけは売らない、という言い方さえ残っていたユダヤ人。見えない「財」を大切に流浪を生きた彼らは、20世紀にもこう語る。