2018年4月28日土曜日

新刊『君もガリレオになる』

物理・数学・科学史好きなひとのための本『君もガリレオになる』が刊行されました!


ガリレオは最晩年、力学の問題に取り組み、斬新な成果を上げます。しかし、ガリレオと言えば、望遠鏡を製作して天体観測したエピソードの方が有名ではないでしょうか?ガリレオの力学への貢献はあまり知られていないように見えます。


それというのも、ガリレオののちに生まれた「ニュートン力学」が現代に至るまで力学の基礎となっているからであり、ガリレオの力学はアリストテレスとニュートンの間で埋もれてしまったからです。

今回紹介する『君もガリレオになる』は、このガリレオの動力学をなるべくオリジナル(原典)に近い形で現代に蘇らせよう、という画期的な本です。

原典というのは、『新科学対話』(岩波文庫)ですが、とても読みにくい本です。なぜって、ここでは数式が書かれずに、ぜんぶ文章で解説されているから。そして、耳慣れない用語も頻繁に使われているから。

ガリレオの時代には、微積分もなく、デカルトから発展する記号代数学もありませんでした。では、どうやって動力学を解くのか?──幾何学と比によって、です。「時間」や「力」を図形の辺の長さに置き換え、その比を読み解いていくことで求めるべき数値を出します。

『君もガリレオになる』では、デカルト的な記号と数式は用いますが、幾何と比による解法は、ガリレオ自身の使った手法を再現しています。

著者は名古屋大学の名誉教授(物理)なのですが、何度も『新科学対話』に跳ね返された(難解だった)、と言います。それだけ、ガリレオの発想は現代と異なるのです。

けれども、実はこの本を理解するには、高校数学のレベルで十分です。難解さは、発想と解法が、現代から見ればかえって新しく、ユニークだという点にあるのです。

だからこそ、物理、数学、科学史の好きな方には、ガリレオ流の力学をタイムマシンに乗るように存分に楽しみ、遊んでいただきたいと思います。


ちょっと、ワークブックか問題集のような趣。

ぼくも科学史と文章表現に関して、編集に携わりました。わくわくするような本でしたよ!