2018年4月9日月曜日

『遊戯哲学博物誌』の案内板 その3

その2からのつづきです。

まずは、この本の問題設定を確認したいと思います。哲学としての問いです。

ふたつの問い、「世界とはなにか」(世界はどのように成り立っているか)「善く生きるとはどういうことか」が根本にあります。



これらふたつの問いは、単語で言えば「世界」「倫理」の問いであり、実は古代ギリシアの時代に育まれたものです。もちろん、ほかの文明もそういった観点をもっていましたが、文字にして、本を書き、また公共の場で話し合い、パフォーマンスを伴って、長い年月をかけて多様性のなかでこれらの問いを「熟成」させたのは古代ギリシアでした。

この点で、『遊戯哲学博物誌』の問いは、哲学の原点に立ち戻るものです。

その答えやいかに……というところですが、ここではこれらの問いの広がりを確認しておきたいと思います。


なぜなら、「世界とはなにか」(世界はどうなっているのか?)という問いは、あっちこっちへ枝分かれするからです。

たとえば、「ものはすべて原子から成り立っているのか」「言語の始まりの風景はどんなものだったか」「人間とはなんだろう」といった問いはすべて「世界とはなにか」にかかわります。

また、「善く生きること」について考えようと思えば、「幸福とはなにか」「自由とはなにか」「運命ってどういうものだろう?」「人生をどのように捉えられるか」等々、さまざまな視角が思いつきます。

そこで、『遊戯哲学博物誌』は目次で見ると、こんな構成になりました。全43章、羅列のようですが、ご覧ください。(なお、「あ」「い」「う」……のそれぞれが「1章」「2章」「3章」……に当たります)。

【あ】遊戯、哲学、博物誌について
【い】遊戯について 
【う】Lebenspiel について 
【え】精神について 
【お】配置について 
【か】親和力について 
【き】オーラについて 
【く】存在について 
【け】記憶について 
【こ】宇宙の塵とひとりのひとについて
【さ】表現について 
【し】展開について 
【す】知の営みについて 
【せ】思考について 
【そ】論理について 
【た】物語について 
【ち】運命について 
【つ】真理について 
【て】言葉について 
【と】意味について 
【な】概念について 
【に】理念について 
【ぬ】幸福について 
【ね】自由について 
【の】倫理について 
【は】善く生きることについて 
【ひ】人間について 
【ふ】愚かさの混沌について 
【へ】徳について 
【ほ】身体について 
【ま】生命のリズムについて 
【み】生態系について 
【む】肯定と否定について 
【め】多様性、複雑系、生成変化 
【も】共同体について 
【や】文化について 
【ゆ】モナドについて 
【よ】制度について 
【ら】資本主義、帝国主義、全体主義 
【り】伝統、作品、普遍性 
【る】友情について 
【れ】パラドックスについて 
【ろ】不思議について


これだけでは、「博物誌だけあって、いろいろ入っているね」という印象でしょうが、実は最初の1〜3章と最後の2章をお読みいただければ、この本のコンセプトはきゅっとそこに詰まっています。

そのあたりの話を次回、つづけたいと思います。
その4へつづく。