2019年6月5日水曜日

【日常】蜘蛛太のはなし


去年から、蜘蛛を飼っている、わけではないが、部屋に出るのをただ眺めている。

去年の夏頃だったか、蜘蛛太(くもた)が来た。
ぼくの部屋は和室なので、小さな蜘蛛はちょっとした風情がある。

「殺す」なんてとんでもないし、窓の外へ出すのも手間だから、ほうっておいた。すると、毎日のように机のまわりに出てくる。

そのうち、「蜘蛛太(くもた)」と名前をつけた。

□ □ □

冬のあいだ、蜘蛛太は姿をくらました。
春になると、蜘蛛の子が何匹も出た。

「くもたろう」
「くものすけ」

そのうち、名前のストックが尽きて、すべて名無しになった。
アガサ・クリスティではないが、「そして、みないなくなった」(蜘蛛の子だけに「散った」)。

いま、机のうえにそれほど小さくはない蜘蛛が一匹いるので、それを新しい「蜘蛛太」と名づけた。

今年もよろしく。

(ただし、区別はつかない)。

□ □ □

* 哲学者のスピノザは、部屋の隅で、蜘蛛を戦わせて楽しんでいたらしい。だけど、どうやったら「戦う」のか、ぼくは見たことがない。