2020年4月16日木曜日

【はたらく×コロナ】コールセンターの「変わらない日常」


 取材日:2020年4月16日

今回、地方都市のコールセンターで働く中堅社員のFさんに話を聞きました。コロナで世の中が変わっても仕事も日常もほとんど変わらないようでした。


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コールセンターの場合、電話対応を依頼しているクライアントの意向が重視されます。Fさんの会社ではクライアントが仕事の継続を望んだため、Fさんは4月半ばになるまで変わらずに仕事が続きました。

もっとも、Fさんの会社やクライアント企業でもリモートワークは可能な範囲で導入しているようです。

しかし、Fさんのようにセンターで電話対応をしているひとは、多人数でのチームワークが必要なこともあり、センターで仕事をするしかありません。センター自体がそもそも、本来対面で応対するところをリモートで応対する仕事です。

さすがに首都圏で緊急事態宣言が出たのを受けて、4月は「計2日の自宅待機」が命じられました。シフト制なので、ひとによってどの日程の、どの時間帯に休むかはちがいます。これは、職場で席の間を空ける(ソーシャル・ディスタンス)方策が採られたためです。

この2日分も給与は出るので、月の収入は変わりません。ただし、本来シフトに当たっている時間は自宅にいることが原則です。シフトは早番・遅番のふたつがあります。

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業務の内容も変わりはないとのこと。コロナ騒ぎで電話の量が増えたり、問い合わせの内容が大きく変わったりすることはないと言います。ただ、出勤者が減ったために電話がつながりにくくなっているようです。

Fさんは仕事の経験値が買われているため、直接の電話対応は少なく、クレーム対応や教育など、中間管理職に当たる仕事をしています。この点も通常の通りとのこと。

このように、いまのところ「影響なし」だそうです。

ただし、掃除スタッフの方がドアノブを拭いたり、自分で使用したパソコンは除菌するなどの細かな変化はあります。

今後の見通しですが、仮に勤務先でコロナ感染者が出た場合には、一時的に閉鎖などの措置はとられるでしょうが、会社は全国の地方に分散してコールセンターを設けているため、ほかで埋め合わせるだろうと予想されます。その点、勤務先のコールセンターに固有の仕事はなく、リスク管理がうまく行っているようです。

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「変わらない日常」は保たれつつも、少しずつ変化を受けています。ふだん外からは見えにくいコールセンターの仕事ぶりが伺えたのは興味深かったです。

文:木村洋平
写真:Unsplash より